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高齢者コロナワクチン接種 茨城の自治体、「7月末完了」に苦心 派遣、協力で枠確保

潮来市の集団接種会場で接種を受ける高齢者=同市島須
潮来市の集団接種会場で接種を受ける高齢者=同市島須

高齢者の新型コロナウイルスワクチン接種について国が目標とする「7月末までの完了」に向け、茨城県内自治体が苦心しながらスケジュールの前倒しを図っている。特に医師不足に悩む地域では、他の自治体や医療機関に協力を仰いだり、医師の派遣を要請したりして、接種枠の確保に奔走している。県や水戸市のように大規模接種会場を開設する動きもあり、さらに接種が加速する見通しも出てきた。

■ようやく光
政府が5月12日に公表した高齢者接種の調査結果によると、県内44市町村のうち、終了時期を「7月末まで」と回答したのは30自治体、「8月中」が9自治体、「9月以降」が5自治体だった。

当初の予定から、大幅に完了時期が前倒しされる見込みとなったのが潮来市だ。市内に大病院がなく、「県内で最も医療体制が弱い鹿行地域の中で、さらに最も医師が少ない」(原浩道市長)ことから、接種の遅れが懸念された。

国の調査に対して当初、終了見込みを「10月以降」と回答。全国の自治体に“ご用聞き”をしている総務省からは「どうしてこんなに遅いのか」と原市長に直接電話があったという。その後、鹿嶋市や神栖市の病院の協力を得て、予定を早める算段がついた。

さらに5月27日、県の後押しにより、市の集団接種会場に筑波大から医師派遣が決定。ここまで市内の医師7人で実施していた集団接種は、医師の増加によって「ほぼフル回転」(担当者)の体制が整った。小山記念病院(鹿嶋市)が大幅に個別接種枠を拡大したこともあり、7月末終了が視野に入ったという。

原市長は「ここに来て、ようやく光が見えた。希望者全員が終えるまで、関係各所に働き掛けていきたい」と話した。

■県同士で調整
町内に医師が一人もいない河内町。町による集団接種は行わず、石山茂樹町民課長は「周辺自治体や医療機関の協力を得て、7月末までに高齢者接種が終わる枠を確保した」と明かす。

町は周辺自治体に先駆けて5月11日から75歳以上の約1800人を対象に接種を開始。同30日現在で約千人が1回目の接種を受けた。請け負うのは龍ケ崎市、稲敷市、千葉県成田市の医療機関。このうち成田市は茨城、千葉両県の調整が奏功した。

石山課長は「かかりつけ医で接種を受けたい人もいる。終了は少しずれ込むかもしれないが、枠自体はある」と説明。その上で「今後は受けたくても受けられない人がいるかどうかの調査やそのサポート、さらに64歳以下の接種に向け万全を期したい」と語った。

■冷や汗もの
一方、一般高齢者向け先行接種を県内で最も早い5月1日に始めた古河市。市医師会や市薬剤師会の積極的な協力もあり、遅くとも8月上旬には希望者全てが2回目の接種を完了できる見通しだ。平日の接種を担当する古河赤十字病院の小山信一郎院長は「スムーズに動けば、おおよそ7月末と言ってよいのでないか」と表情は明るい。

5月24日に始まった本格的な接種の対象は約3万8千人。当初、市は3分の2に当たる約2万5千人分の接種枠を用意したが、希望者の増加を受けて8千人分を追加する方針を示す。

ただ、ワクチンや備品の正確な供給量や時期の見通しは不透明という。先行接種の際、必要量の注射器が届いたのは前日の4月30日。市幹部は「冷や汗ものだった」と振り返る。

同市は都内通勤者も多く、埼玉、栃木両県と生活圏が重なる。針谷力市長は「早く接種を進めるのなら、都内で接種したり隣県同士でワクチンを融通したりできるようにしてほしい」と訴えた。

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