原子力機構、EFTをベンチャー認定 レアメタル安定供給へ

新技術の装置について説明する長縄弘親取締役CTO=県庁
新技術の装置について説明する長縄弘親取締役CTO=県庁
日本原子力研究開発機構(原子力機構)は3日、使用済み電池などの“都市鉱山”からレアメタルを回収し高品位の素材として市場に返す「水平リサイクル」の実現を掲げるエマルションフローテクノロジーズ(EFT、東海村)を機構発ベンチャー企業として認定したと発表した。EFTは原子力機構が持つ低コストで高純度のリサイクルを可能とする新規溶媒抽出技術を用い、2025年を目標に事業化。技術普及も図り、脱炭素社会に不可欠なレアメタル資源の安定供給に貢献する。

EFTは、リチウムイオン電池を中心としたレアメタルの回収と販売の事業化などを目指す。電気自動車の普及に同電池は欠かせないが、レアメタル供給量を需要が上回ることが想定され、都市鉱山の活用が求められている。

新技術は「エマルションフロー」と呼ばれ、使用済み核燃料の元素分離の研究から生まれた。07年に初代技術が開発され、第5世代が最新。装置は現在10社以上に使用が許可され、活用分で年間10億円売り上げる製錬業者もあり、EFTは装置普及も担う。

従来の技術は、金属を含む水相(処理対象液)と油相(抽出剤)を攪拌(かくはん)し、時間をかけ分離して金属を抽出。低純度、低生産性と課題が多く水平リサイクルは難しかった。一方、新技術の第5世代は純度を99.99%以上にできる上、生産効率の従来技術比は100倍で、水平リサイクルにつながる。処理対象液に抽出剤の微細なつぶを噴出することで乳濁状態から素早く分離・抽出でき、攪拌は必要ない。

この技術の開発者で、現在は原子力機構先端基礎研究センター再雇用職員の長縄弘親氏が取締役CTOを務める。社長兼CEOは、同機構イノベーション推進室研究主幹の鈴木裕士氏。ほか2人の計4人で4月に設立した。

今回の認定で、同機構からの出向・兼職、知財の利用、施設利用のほか、出資支援を受けることも可能になるという。認定は約8年ぶりで6社目。

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