「花嫁姿見せたい」 結婚式、悩むカップル キャンセル料多額 クラスター懸念

披露宴会場でグラスを消毒するセント・ルミエールのスタッフ=つくば市西岡
披露宴会場でグラスを消毒するセント・ルミエールのスタッフ=つくば市西岡
結婚式を挙げてもいいのか-。長期化する新型コロナウイルス禍が、カップルたちを悩ませている。多人数での挙式は感染リスクがあり、全国では披露宴でのクラスター(感染者集団)も確認された。人生の節目となる結婚式の延期や中止が相次ぐ中、式を挙げる決意をしたカップルたちに今の思いを聞いた。

◆2度の延期
「中止すれば数百万円のキャンセル料がかかる。中止の選択肢はなかった」

茨城県内の国立大を卒業した会社員、山村克己さん(29)と妻、梓さん(28)は今年5月、東京都内で念願の式を挙げた。

当初は昨年6月の挙式を予定していた。東京都に緊急事態宣言が発令され、2人は「安心できる来年にしよう」と延期を決めた。今年2月に開く予定だったが、緊急事態宣言が再発令。2度の延期を余儀なくされた。

「これ以上の延期は(式への)モチベーションにも影響すると思った」

結婚式を開いた理由の一つには、緊急事態宣言に対する考え方の変化もあった。「感染状況がいつになっても変わらない。どうせなら実際に顔を合わせて(式を)挙げたい」という思いが勝った。

招待客には2日前まで出欠を変えられるようにし、式場でもマスク着用や検温、パーティションを設置するなど感染対策を徹底した。2人は「やってよかった」と振り返る。

◆規模を縮小
茨城県つくば市の会社員、男性(33)も4月中旬に予定していた式を9月に延期した。

「この状況では難しい。延期しよう」。東京都に緊急事態宣言が出ていた2月、市内のレストランで夫婦2人、2時間話し合った末の結論だった。

「(式場の)担当者には感染対策は万全と言われた。それでも正直、中止が頭をよぎった」。多くの親族や友人が楽しみにしてくれているが、「クラスターの発生が怖かった」

母子家庭で育った妻(34)の「絶対にやりたい。母親にウエディング姿を見てもらいたい」という言葉が決め手となった。招待客を親族のみに絞り、規模を縮小して開くことを決意した。

延期の選択はつらかった。高額なキャンセル料という金銭面の問題もあった。「子どもができることを考えたら、(キャンセル料に)何百万円も使う余裕なんてない」

コロナ前に描いていた「普通」の結婚式はかなわなかった。それでも2人は「素晴らしい結婚式だったと、思い出になる日が来るはず」と笑顔を見せる。

■「フォト婚」需要増 海や神社でロケ撮影も
新型コロナウイルスの収束が見通せない中、ウエディング業界では検温、感染防止対策だけでなく、新たな結婚式の形を打ち出し、カップルの思い出づくりを手伝っている。

結婚式場「セント・ルミエール」(茨城県つくば市西岡)は、写真撮影のみを行う「フォトウエディング」という新たな需要が生まれている。

以前からあったサービスで、コロナ禍で問い合わせ件数が10倍ほどに伸びた。好況を受け、アルバム製作などを含めたフォト婚のセットプランを新たに開始。県内外の海や神社など好きな場所で写真が撮れる「ロケーション撮影」を導入し、好評を得ているという。

挙式の際は、消毒や検温といった感染対策を徹底。スタッフもPCR検査を受ける。招待客を送迎するバス会社やタクシー会社と連携し、1回送迎するごとに換気や消毒をするなど、万全の態勢を整えている。

同社の広瀬直輝さんは「クラスターが発生すると、次週に式を挙げる新郎新婦にも影響が出る」と危機感を示す。同社でも昨年約8割のカップルが式を延期、残る約2割は規模を縮小した。

茨城ウエディング協議会(水戸市)によると、コロナの影響で式を延期、中止した全国のカップルは、昨年1年間で約24万組に上るという。

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