寺を福祉避難所に 茨城・つくばみらい市、県内初の災害協定

「地域資源として寺院を活用してほしい」と語る米沢智秀住職=つくばみらい市小張の高雲寺
「地域資源として寺院を活用してほしい」と語る米沢智秀住職=つくばみらい市小張の高雲寺
大規模災害時に寺院や神社を避難所として活用できるよう、自治体と宗教施設が協定を結ぶ動きが全国で広がる。茨城県内でもつくばみらい市が、高齢者や障害者を受け入れる「福祉避難所」として寺院を活用する連携協定を8月、市内の寺院と結んだ。宗教施設を緊急避難場所に指定するケースはあるが、福祉避難所とするのは県内で初の事例とみられる。

市と協定を締結したのは同市小張の高雲寺。市が指定する福祉避難所は、県立特別支援学校や保健福祉センター、公民館、児童館など5カ所ある。うち高台にあるのは2カ所のみで、市防災課の担当者は「風水害時の福祉避難所の確保は重要な課題」と強調する。

高雲寺は高台に位置し、客を接待するための39畳ある「客殿」と、6畳の部屋を災害時に開放する計画。風呂、トイレがあり、スロープなどのバリアフリー対策も施されている。2〜3世帯の受け入れを想定しているという。

米沢智秀(ちしゅう)住職(53)は「檀家(だんか)のためだけのお寺ではなく、地域資源として寺院を活用してもらいたい」と語る。

米沢住職は県社会福祉協議会の「防災活動アドバイザー」を務める。新潟県中越地震(2004年)や東日本大震災(11年)、常総水害(関東・東北豪雨、15年)、西日本豪雨(18年)などに、災害ボランティアとしてほぼ毎年参加してきた。活動を通し、障害者や高齢者など共同生活が困難な人たちが泥だらけの畳の上でブルーシートを敷いて過ごすといった現場を「何度も目の当たりにしてきた」といい、福祉避難所の必要性を訴える。

災害時の宗教施設活用は、東日本大震災で公共施設が津波被害を受け、寺社が避難所となってから、取り組む自治体が増えている。

大阪大大学院の稲場圭信教授(共生学)の20年調査によると、全国の329自治体が2千超の宗教施設と災害時の協力関係を築いている。

稲場教授は、福祉避難所としての宗教施設の活用を「先駆的な事例と言える」とした上で、「寺社は地域に根差しており、畳や炊事場などがある空間が避難場所に適している」と話す。自治体に対しては「寺社などの耐震工事や備蓄品購入を補助するなど、連携を進めるべきだ」と指摘している。

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