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茨城・常総水害6年 被災の記憶、次代に 市民有志、冊子に生の声

常総水害の被災者の声をまとめた冊子「被害者主人公の活動〜6年の軌跡〜」について説明する染谷修司さん(左)=常総市水海道橋本町
常総水害の被災者の声をまとめた冊子「被害者主人公の活動〜6年の軌跡〜」について説明する染谷修司さん(左)=常総市水海道橋本町
2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫した常総水害から10日で6年を迎えた。災害の教訓をいかに次世代へと継承するかが課題となる中、茨城県常総市民の有志が、被災者の声などをまとめた冊子「被害者主人公の活動〜6年の軌跡〜」を発行した。メンバーの染谷修司さん(77)は「常総市の体験を伝えることが今後の防災につながれば」と願う。

「妻が亡くなってからの毎日は、苦悩の連続だった」「ローンを組んで新築した家だったのに」-。冊子は、被災者から聞き取った当時の状況や、生活再建に向けた行政への要望などを、市民有志12人がまとめた。水害発生の原因分析も盛り込まれている。被災の記憶を語り継ぐとともに、過去の災害を知ることで広く防災意識の向上を図ってもらうのが狙いだ。

同市で花卉(かき)生産販売「フラワーセンター紫峰園」を経営する高橋敏明さん(67)は、鬼怒川から1キロほどにある16棟のビニールハウスが浸水した。被害額は5千万円を超え、「営業再開には多額の借金をしなければならなかった」と窮状を訴えた。染谷さんは「6年がたっても水害被害は終わっていない。市民だけでなく行政に携わる人にも読んでほしい」と呼び掛ける。

常総水害は同市上三坂地区の鬼怒川堤防が決壊、同市若宮戸地区では越水し、市域の約3分の1に当たる約40平方キロが浸水、5千棟以上が全半壊した。多くの市民が逃げ遅れ、災害関連死を含め15人が亡くなった。災害対策本部だった市役所も浸水して孤立した。

冊子に寄稿したNPO法人「茨城NPOセンター・コモンズ」の横田能洋代表理事(54)は、市内の外国人支援などに取り組む実績を踏まえ、「住宅再建などの被災者支援が足りなかったことが(市内の)人口流出につながった」と指摘する。現在は外国人が新たに移り住むなどして人口は戻りつつあるが、「外国人の地域交流という新たな課題も生まれている」と分析する。

冊子はA4判90ページ。常総水害の義援金の一部を活用し制作した。1冊500円。問い合わせは染谷さんまで。メールkinusoshu@outlook.jp

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