教育旅行、茨城いかが 県内事業者連携 自然や先端技術 体験・探究の場提供

火おこしを体験する都内の私立学校関係者=石岡市下青柳
火おこしを体験する都内の私立学校関係者=石岡市下青柳
新型コロナウイルスの感染拡大で観光需要が落ち込む中、各学校が実施する教育旅行を茨城県内に誘致しようと県内事業者が動き始めた。豊かな自然環境や最先端の科学技術などを備える茨城県の特徴を生かし、学校を対象とした課題解決型の体験・探究学習の場を提供していく。首都圏からの近接性などもアピールしながら、新たな市場の掘り起こしを探る。

■魅力伝える
「都内からつくば市までは約50キロ。石岡市の八郷地区へは、そこからさらに車で30分ほどの距離にあります」。7月下旬、同市の「いばらきフラワーパーク」で、県内旅行会社の担当者らが茨城県の魅力について熱弁を振るった。

訴える相手となる参加者は、都内の私立学校関係者。「森と未来のモニターツアー」と題し、参加者は同園内で採取した枯れ枝を使った火おこしや花の摘み取りを体験したほか、周辺のバラ園を訪問。栽培方法や仕事についての説明を聞きながら、同市八郷地区における自然環境の魅力を堪能した。

その後、舞台をつくば市に移し、茨城県の科学技術に理解を深めた。防災科学技術研究所の担当者が、施設の役割や研究内容を解説したほか、超小型人工衛星の開発などを手掛ける筑波大発ベンチャー企業が事業概要などを説明した。

■地元の強み
ツアーの目的は、各学校が実施する修学旅行や宿泊学習などをはじめとする教育旅行の誘致だ。新型コロナ感染拡大により各学校の修学旅行や体験学習が中止・縮小される中で、茨城県の特徴でもある豊かな自然環境や最先端の科学技術を学ぶプログラムを提案。旅行先として茨城県を選択肢に加えてもらおうと、県内の中小旅行会社が連携し企画した。

地元に根付く事業者としての強みを生かし、農家や地元企業との関係性も売り込む。現場の生の声や体験を通して「見る」「考える」「答える」探究学習で、課題解決型の教育旅行として提案していく。

ツアーに参加した文化学園大学杉並中学・高等学校(東京都)の青井静男副校長は「これほど優れた素材があるとは知らなかった。生徒の創造性育成や防災教育にもつながる」と好意を示す。東京都私学財団の清水哲雄理事長も「アカデミックな視点を加味した提案があれば、さらに魅力も増す」と期待を込める。

■逆風をチャンスに
新型コロナ感染拡大で観光需要は大きく落ち込み、県内の観光事業者は厳しい経営環境が続く。こうした中で、関連事業者にとって新たな市場の掘り起こしは欠かせない状況にある。

ツアーを企画した水戸市の旅行会社「アーストラベル」によると、首都圏における教育旅行の市場規模は約63億円。尾崎精彦社長は「このうち数%でも茨城に振り向けられれば、大きな需要の獲得につながる」と説明。教育旅行の市場開拓を「コロナ禍におけるチャンス」と捉え、首都圏からの近接性や交通利便性なども訴えていく。来月には複数の旅行会社などによる社団法人の立ち上げも検討している。

課題は宿泊先の確保だ。県内はこれまで修学旅行など学校単位での目的地となるケースは少なく、100人規模で一斉に利用できる宿が少ない。このため、「複数の宿泊事業者とも連携した仕組みの構築」(尾崎社長)を目指していく。

最近の記事

ニュース一覧へ

全国・世界のニュース