「孤独のグルメ」登場 茨城・鹿嶋「キッチンSALA」、再ブームで来客殺到 東京・旧せきざわ食堂

砂押正男さん、正紀さん、紀美枝さん(左から)=鹿嶋市宮津台
砂押正男さん、正紀さん、紀美枝さん(左から)=鹿嶋市宮津台
しょうが焼き目玉丼定食とウインナーフライ(右)。しょうが焼きは目玉焼きの下に隠れている
しょうが焼き目玉丼定食とウインナーフライ(右)。しょうが焼きは目玉焼きの下に隠れている
ドラマ「孤独のグルメ」(テレビ東京系)をご存じだろうか。松重豊さん演じる輸入雑貨商・井之頭五郎が、仕事先で実在する飲食店に入り、その料理を味わう様を描く。根強いファンを持ち、今年10年目に突入。実はその第1弾に登場した東京の店が、茨城県鹿嶋市で再オープンしている。8月に放映された回で、五郎が同店を回想し鹿嶋への移転に触れたことから、ファンが連日店に殺到。再びブームが巻き起こっている。

その店は、鹿嶋市宮津台にある「キッチンSA(サー)LA(ラ)」。オムライスやカレー、ハンバーグなどの定食を出す洋食屋だ。2014年7月に開店。店主の砂押正紀さん(46)、父親の正男さん(81)、それに母親の紀美枝さん(70)の3人で切り盛りしている。

砂押さん夫婦は7年前まで、東京都豊島区で「せきざわ食堂」を営んでいた。安くて品数が豊富なことから、単身赴任者や学生に人気の店だった。「毎日来てくれるお客さまがいるから高くできなくて」(紀美枝さん)。

そんな評判が伝わったのか、2012年に始まった「孤独のグルメ」で取り上げられることに。すると翌日から、ドラマを見た客が続々とやってきた。放送が全国の他局に広がっていくにつれ、また新たな客が訪れて、ブームはずっと続いたという。

一方、砂押さん夫婦にはもう一つ「食堂」があった。いつかは東京の店を閉め、正男さんの古里に近い鹿嶋市で新たに店を開店しようと考え、1992年に店舗兼住宅を建てていた。

「孤独のグルメ」放送から約2年後。外食チェーンで働いていた正紀さんがSALAをオープンさせることになり、夫婦は43年続いたせきざわ食堂を閉店。親子3人で、鹿嶋での新たな生活が始まった。

すっかり地元に定着した店に、テレビ東京から電話が入ったのは今年7月のこと。「せきざわ食堂が新しく鹿嶋でやっていると、今回の放送で流してもいいでしょうか」

そして8月。その回に登場した店は、せきざわ食堂の近く。ドラマ終盤、五郎は食堂跡を訪ね「茨城県鹿嶋市でやってるんだったな」などとつぶやいた。すると瞬く間にSNS(会員制交流サイト)で、多くの反響が飛び交った。「鹿嶋市に移転してたんだ!」「なくなっていなくて良かった」「行ってみたい」-。

案の定、翌日から店はてんてこ舞い。食材がなくなってしまい、営業終了時間前に店を閉めなければならなかったことも。「食堂の放送は9年も前なのに、覚えてくれていてうれしかった」と紀美枝さん。

メニューの中でも特に人気なのが、五郎も食べていた「しょうが焼き目玉丼定食」(680円)と「ウインナーフライ」(300円)=いずれも税抜き。

五郎の言葉を借りれば、目玉丼は「問答無用のうまさ。これほどガツガツが似合うどんぶりないぞ」、ウインナーフライは「この普通味がうまい。なかなか食べられないんだ、望んでも」。今回の放送後来店した客の8割が、この二つを注文したという。

思いがけないきっかけから、再びブームに火が付いた同店。紀美枝さんは戸惑いながらも、にこやかに語った。「自分たちが食べても飽きのこないものを、お客さまに食べてもらいたいだけ。今は新型コロナで満席にすることはできないので、慌てず落ち着いたら来てください。鹿嶋はいいところですよ」

最近の記事

ニュース一覧へ

全国・世界のニュース