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衆院選 江戸崎総合高 高校生が託す1票 放課後に期日前投票 茨城

県立江戸崎総合高に1日限りで設置された期日前投票所で投票する男子生徒=稲敷市江戸崎甲
県立江戸崎総合高に1日限りで設置された期日前投票所で投票する男子生徒=稲敷市江戸崎甲


31日投開票の衆院選で、茨城県稲敷市選管は25日、同市江戸崎甲の県立江戸崎総合高(後藤光彦校長)に1日限りの臨時期日前投票所を設けた。生徒に選挙を身近に感じてもらい、若者の投票率向上につなげるのが狙い。生徒たちは「国民の意見を伝える大事な場」「無駄にしないで」「教育支援を」などと、それぞれの思いを胸に1票を投じていた。

放課後のチャイムが鳴り響く午後3時すぎ、同校の合宿所「古城会館」の一室に衆院選期日前投票所が開設された。最初に訪れた3年の大友美咲さん(18)が、投票箱の中が空なのを確認した。

生徒たちは事前に家族と相談したり、報道や配られた選挙公報を基に考えたりして投票に臨んだ。

大友さんは投票後、「選挙で投票するのは初めて。国民の意見を伝える大事な場だと思い、すごく緊張した」と振り返った。野菜などの栽培を学んでいて、将来は農業の道に進むつもりだ。投票先については「候補者の農業についての意見に共感して決めた」という。

「一人一人の思いがこもった票を大切にしてほしい」と話すのは、3年の山田竜也さん(18)。「本当は大学に行きたかった。弟や妹が大学に通える世の中になってほしくて、子育て支援を手厚く訴える候補者を選んだ」

この日は計6人の生徒が投票所を訪れた。女子生徒(18)は「一票の重みはよく分からないけど」と本音を語った上で、初めて投じた票について「無駄にしないでほしい」と候補者に求めた。

同高は、県議会の傍聴や、校内で市議会の報告会を開くなど、政治に関する学びの機会を設けてきた。新型コロナウイルスの影響で現在、こうした場がなくなっている。

今回の取り組みを後藤校長は「自分の学んでいる分野と政治を結び付けて考えるきっかけにしてほしい。日曜日にアルバイトをしている生徒も多く、学校帰りに投票できるのはいい」と述べた。

県選管によると、国政選で移動投票所を設けたケースはあるが、高校の施設を投票所に使う試みは県内で初めて。

2019年の参院選では、同市内の18歳有権者344人のうち、投票したのは123人と35・76%にとどまり、市内全体の投票率44・53%を大幅に下回った。今回の衆院選の18歳有権者数は284人。市選管の担当者は「期日前投票所の設置で、今回投票していない生徒も関心を持ってくれたのでは」と、若者の政治参加に期待している。

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