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【21衆院選 激戦の軌跡】 (中) 野党共闘 不発で戦略練り直しへ

立憲民主党の枝野幸男代表(右端)や共産党の山中泰子県議(左端)らに見守られ演説する青山大人氏(右から2人目)=10月27日、つくば市竹園
立憲民主党の枝野幸男代表(右端)や共産党の山中泰子県議(左端)らに見守られ演説する青山大人氏(右から2人目)=10月27日、つくば市竹園


「こういう形での応援は初めて。この茨城でも、野党共闘の大きな一歩が進んだといえる」

選挙終盤を迎えた10月27日。つくば市で行われた立憲民主党前職、青山大人氏の街頭演説で、共産党の山中泰子県議が応援の声を上げた。この直後、立民の枝野幸男代表も駆け付け、同じマイクで熱弁を振るった。

共産が候補者を取り下げ、与党との一騎打ちの構図に持ち込んだ茨城6区。青山氏は得票数を前回より1万6千票以上伸ばした。共産の上野高志県委員長は「一定の成果。善戦できた」と評す。

ただ、今回の衆院選で注目を集めた野党共闘は常にジレンマを伴った。「保守票や労組票が離れる」。立民県連幹部からは、共産との接近を警戒する声も漏れた。外交や安全保障などで政策を異にする立民、共産の連携は一部で「野合」との批判も浴びた。

「政党間や各団体との連携だったが、有権者にとっては分かりにくかった。反省すべき点だ」。選挙後、立民県連の郡司彰代表は戦略を練り直す必要性を示唆した。

投開票日の10月31日深夜、水戸市内の事務所で開票速報を見守った立民県連の小沼巧幹事長は、大勢が判明すると野党共闘に対する見解を示した。

「プラスも、マイナスもあった。共闘で単純に『足し算』になるわけではない」

県内7選挙区で4勝-。立民県連が掲げたのは、野党系候補による小選挙区での過半数勝利だった。立民県連と国民民主党県連は「連絡協議会」を立ち上げ、相互に応援演説するなど連携。共産県委員会も各選挙区での候補者調整に加え、立民候補の「支援」も進めた。

しかし、立民は青山氏と中村喜四郎氏が比例復活を遂げたものの、小選挙区では擁立した4人が「全敗」。国民の浅野哲氏、地道な草の根運動を続けてきた無所属の福島伸享氏の2人が勝ち上がる結果にとどまった。

立民と国民の最大の支援団体である連合茨城の内山裕会長は「結果が全て。立民を中心とした野党共闘は失敗だった」と共産との共闘路線の見直しを主張。来夏に迫る参院選に向けて「今のままの枠組みでは戦えない。分かりやすい形が必要だ」と勢力の結集を訴える。

野党共闘による「厳しい結果」(小沼幹事長)は、連携の在り方に課題を残した。

共産との連携を深めた立民に対し、連合や民間労組の支援を受けた国民は独自路線をアピールし、善戦した。

前職のいる5区では共産との一本化に応じず競合。政権批判票の奪い合いを演じながら自民前職に競り勝ち、県内唯一の議席を死守した。

「共産候補がいる選挙区で勝つ意味はものすごく大きい」

「対決より解決」と訴え他の野党とは一線を画す党の立ち位置が問われた選挙戦。玉木雄一郎代表は5区を「最重点区」と位置付け、自身も公示前後で計3回応援に入るなどてこ入れを図った。

結果、厳しい事前予測を覆し比例北関東ブロックでも1議席を獲得。二川英俊県連幹事長は「現実的な政治の訴えが、一定程度評価された。共闘の枠組みについては検証が必要だろう」と総括する。

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