《ニュースを追って》茨城県大洗町 不法滞在にもワクチン 感染拡大防止へ外国人向け対策強化

換気やマスク着用など感染対策をしながら教会で祈る信徒たち=大洗町磯浜町
換気やマスク着用など感染対策をしながら教会で祈る信徒たち=大洗町磯浜町
換気やマスク着用など感染対策をしながら教会で祈る信徒たち=大洗町磯浜町
換気やマスク着用など感染対策をしながら教会で祈る信徒たち=大洗町磯浜町
■ホームページ案内充実
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、茨城県大洗町は町人口の約5%に当たる799人(11月1日時点)の外国人に向け、ホームページを8カ国語で案内するなど対策を強化している。背景には、4月末から5月にかけ、外国人コミュニティーでクラスター(感染者集団)が発生したことや、水産加工業をはじめとした基幹産業が外国人労働者に頼っていることがある。町は、在留資格が切れたオーバーステイの外国人にもワクチン接種を進めている。

■月収4、5倍
「大洗が好き。できることならこの先もずっとこの町で暮らしたい」

来日して約1年、同町在住でカニ加工場で働くインドネシア人の技能実習生、シュルリー・ロンパスさん(40)は、町内の暮らしが気に入っている。

分からないことを尋ねると、丁寧に教えてくれる町民性。生活も母国で洋服を売っていた頃より4、5倍の月収を得て、外食や買い物など少し贅沢ができるようになった。

職場では地元の70代女性たちと一緒に働く。「私たちは何も違わない。働く仲間」と笑顔で話す。

町に住むインドネシア人は約400人。外国人人口のほぼ半数を占める。

大洗水産加工業協同組合によると、組合加盟の36事業者では、寒さや重労働のイメージがあるためか、若年層の働き手が不足する。外国人がいなければ仕事が回らない事業所もあるという。

■クラスター
今春のクラスターは、インドネシア人コミュニティーで発生。感染経路の一つとみられたのは、キリスト教の教会だった。

NPO法人「茨城インドネシア協会」(同町)の坂本裕保代表(72)によると、教会は「窓や扉を閉めていることが多かった」と原因を推測する。

閉め切りにしていたのは、教会の礼拝の声や音が周辺住民の迷惑にならないよう配慮していたためだったという。誕生日をはじめ祝い事で大勢が集まり、大皿料理で食事をする機会が多いことも原因に挙がった。

対策として礼拝はオンラインに変更、多人数での集会を自粛するなどした。

クラスター発生後も、同協会にはインドネシア人を否定するような苦情はなかったという。坂本代表は「宗教、文化的背景が(感染拡大に)関係していると、町民に少なからず理解してもらえているのでは」と語る。

■想定超える
感染拡大を抑え込むため、町はクラスター発生直後からコミュニティーのまとめ役に接触し、感染予防策などを伝えた。

町はホームページを8カ国語対応に改善し、支援窓口情報などを記載。ホームページにアクセスできるQRコードが印刷されたチラシも水産加工会社をはじめ約60カ所で掲示した。在留資格のある外国人の接種率は今月12日時点で、1回目、2回目とも8割を超えた。

感染拡大を防ぐには、オーバーステイの外国人の存在も無視できない。

町は県と連携し、10月17日から県の大規模接種会場で、オーバーステイの人たち向けに接種を始めた。コミュニティーのまとめ役や本人が、町の窓口で手続きして推進。接種を受けた人は今月15日時点で223人となり、当初想定していた200人を超えた。

町健康増進課は「防疫を最優先する観点から進めることにした」としている。

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