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【茨城・龍ケ崎の行方~市長選を前に~】 (上) 牛久沼の活用

水上でのレジャーを楽しむ龍ケ崎市B&G海洋クラブのメンバーたち=牛久沼
水上でのレジャーを楽しむ龍ケ崎市B&G海洋クラブのメンバーたち=牛久沼


任期満了に伴う茨城県龍ケ崎市長選は19日に投開票される。12日の告示を前に、市政の行方を考える。

■道の駅、トレイル構想も 方向性の明確化急務

陽光が反射する水面をかき分け、カヤックが進む。

11日14日昼、全域が龍ケ崎市内に入る牛久沼。水上レジャー体験などを提供する「龍ケ崎市B&G海洋クラブ」の活動だ。海老原徹代表(51)=取手市=は「牛久沼は穏やかで、水に親しむには全国でも屈指の好環境」と強調する。メンバーで県立高1年の女子生徒(15)=牛久市=は「友人たちと過ごす時間を大切に感じる」と語る。

新型コロナウイルス感染症の影響で、密集などを避けるためか、周囲を散策する人たちも増えたという。

▽所有問題が決着

愛好家や地域住民が、牛久沼に目を向ける。ただ、龍ケ崎市は十分に活用を図れなかった。「パンドラの箱」と称された帰属の問題が絡む。

市側の記録などによると、牛久沼はもともと、現在の龍ケ崎市と河内町を含む1町1村8大字で共有していた。対して、地元土地改良区も昭和中期ごろから所有権を主張していた。

協議の末、2016年12月に両市町と土地改良区との間で合意書が結ばれた。市と町が牛久沼を8対2の割合で共有し、土地改良区側に慣行水利権があると確認した。市は別途、町とも協定を交わした。土地所有者としての管理は市が担うことで落ち着いた。

▽「100年先」

壁は越えた。だが、次の一歩が踏み出せない。

市は17年、牛久沼東岸の国道6号沿いに道の駅を建てる基本計画を公表した。国土交通省と共に整備し、開業は茨城国体に合わせた19年を目指す方針が取られた。概算事業費は約21億円と見積もる。

18年には、牛久沼の名所化に向けた構想をまちづくりコンサルタント会社に委託して策定した。「100年先につながる感幸地(かんこうち)」をぶち上げ、周辺自治体と連携した一周20キロのトレイルなどが盛り込まれた。

基本計画との整合性を図ろうと、道の駅のオープンは20年度内に先送りされた。だが、軟弱地盤に加え、予定地に埋設物が見つかるなどの課題が浮上し、開業時期は未定に後退した。

広域連携も道半ば。市が主導した関係市町の首長による会議は、18年に2回目の開催を見たのが最後だ。

複数の市幹部らは訴える。「道の駅では、国交省に待ってもらっている。広域連携にしても、他の自治体にメリットを示せなければ誰も付いてこない」

方向性の明確化は急務だ。

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