牛の発情行動、AI検知 ヒューマンサポートテクノロジー システム開発、試験運用

AIシステムが牛の発情行動を検知し、四角い枠で囲んで示した画像(ヒューマンサポートテクノロジー提供)
AIシステムが牛の発情行動を検知し、四角い枠で囲んで示した画像(ヒューマンサポートテクノロジー提供)
■映像分析 異常も発見 妊娠率向上図る
システム開発のヒューマンサポートテクノロジー(茨城県東海村、小野浩二社長)はカメラの映像から牛の発情行動を検知する人工知能(AI)システムを開発し、栃木県内の農場で試験運用を始めた。発情のタイミングを正確に捉え、妊娠率の向上を図る。病気や食事不足といった異常も検知し、豚の行動分析にも活用可能だ。畜産農家の人手不足が深刻化する中、先端技術の活用で現場の負担軽減につなげる。

同社によると、雌牛の発情周期は18~22日ほどで、発情期以外は受胎しない。人工授精するタイミングを逃すと、経営的な損失を受ける。

AIシステムは、牛舎内に取り付けたカメラの映像を分析する。雌牛がほかの牛に乗ったり乗られたりする「乗駕(じょうが)行動」や、牛舎内を歩き回るといった発情行動を検出し、飼育者のパソコンに通知する。実際に発情しているかを熟練の飼育員らが確認し、その結果をAIに深層学習させて精度を高める。

牛舎内を移動する牛を複数台のカメラで追跡することも可能だ。病気で立てなかったり、食事を取らなかったりする異常も検知する。発情行動の映像を保存し、若手飼育員の分析力向上にも役立てることができる。

これまで発情行動を確認する装置としては、雌牛の首や足に取り付ける歩数計が一般的だった。今回は、1頭ごとに歩数計を取り付ける手間を省くことができる。

2014年設立の同社は、AIによる画像認識技術が強みだ。製造業の不良品検知や設備の表面温度監視などに寄与する。

今回のきっかけは試験運用先の農場からの相談だった。農場に出入りする車の消毒装置を管理するシステムを販売した際、さまざまな課題があることを知ったという。

これまでに開発したスーパーの万引を防止するAIシステムの知見を生かしつつ、国内外の大学と連携して牛豚の発情兆候を推論するアルゴリズムの開発などに取り組んだ。日立地区産業支援センターの補助金を活用したほか、常陽銀行(水戸市)のサポートで顧客開拓を進める。

まずは牛向けに製品化し、来年6月の販売開始を目指す。牛100頭を管理した場合、初期費用はカメラ5台とパソコン込みで50万円(設置工事費除く)ほどを想定し、月額1万円ほどの保守管理費を見込む。飼育者への通知はスマートフォンにも対応するよう改良する。

一方、24年には県北地区の養豚農家がAIシステムの試験運用に協力する計画だ。小野社長は米国や中国を念頭に「(将来的に)海外展開していきたい」と述べた。

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