ファスト映画と海賊版 違法公開、視聴に注意 業界「文化の発展阻害」

CODAが作製している啓発漫画「STOP!海賊版」を掲げる後藤健郎代表理事
CODAが作製している啓発漫画「STOP!海賊版」を掲げる後藤健郎代表理事
■茨城県警「安易な行為は危険」

コロナ禍の影響による巣ごもり需要で、映画鑑賞をする人が増え、それに伴い、違法な「ファスト映画」の投稿や海賊版の公開が目立つようになった。映画業界は「損失は莫大(ばくだい)で、文化の発展を妨げる」と危機感を募らせる。茨城県内ではアニメ映画を視聴時に違法アップロードしたとして、11月に3人が書類送検された。年末年始の休暇に入り、県警は「違法な公開、視聴は誰もが犯罪者になり得る」と注意を呼び掛けている。

ファスト映画は、映画自体を見なくてもストーリーが理解できるよう字幕やナレーションを付けて編集した短い動画。映画1本が3~10分程度にまとめられている。映画のあらすじを効率的に把握でき、特に若者たちの間で人気となった。しかし、映画の映像や静止画を無断使用しており、著作権法に違反する疑いがある。

国内作品の海賊版対策などに取り組む「コンテンツ海外流通促進機構(CODA)」(東京)によると、動画配信サイト「ユーチューブ」でファスト映画を配信しているアカウントは、6月14日時点で55個あった。無許可の動画が2100本余り公開され、計4億7千万回再生されていたという。1回の視聴料を200円と仮定すると、総額956億円相当の被害額になる試算も出ている。後藤健郎代表理事は「被害額は莫大で、健全な映画文化の発展を阻害しかねない」と憤る。

宮城県では6月、ファスト映画を投稿したとして、著作権法違反容疑で3人が逮捕され、11月には全員に有罪判決が下された。後藤代表理事は「判決はさらなる被害拡大を防ぐための大きな成果」と評価し、「悪質なコンテンツを一掃していく」と話す。

CODAは、人気漫画家と協力して作製した漫画「STOP!海賊版」を使い、未然防止を啓発する。

県内でも、違法な動画などを取り締まるため県警がネット上の「サイバーパトロール」を強化している。県警は11月、アニメ映画「機動戦士ガンダム 閃光(せんこう)のハサウェイ」をファイル共有ソフトで違法公開したとして、著作権法違反容疑で男性3人を書類送検した。

県警によると、ソフトは動画を保存すると同時にアップロードする仕組みだった。3人はそれぞれ、「コロナ禍の影響で劇場に行けず見てしまった」「普段から共有ソフトを使用していた」「コロナ禍でお金がなくなり節約のためだった」などと供述した。県警サイバー犯罪対策課は「安易な気持ちでダウンロードやアップロードすると、違法行為に該当する場合もある」と注意を促す。

違法なダウンロードを通し、パソコンがウイルス感染する危険もある。同課は「知らず知らずに犯罪者になってしまうこともある。十分に注意して」と正しい視聴を呼び掛ける。

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