注目高いワーケーション 茨城県内自治体、誘致に力 物件情報や体験プラン 移住の促進視野

霞ケ浦に面した古民家でのワーケーションを紹介する移住者の横山大樹さん=かすみがうら市坂
霞ケ浦に面した古民家でのワーケーションを紹介する移住者の横山大樹さん=かすみがうら市坂
首都圏に住む企業や個人を対象に、茨城県内で仕事と余暇を両立させる「ワーケーション」誘致の取り組みが市町村で活発になっている。新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークが広がったのを機に注目されている。多彩なメニューを用意する一方、全国や県内自治体の競合も生じる。市町村は都心と近い立地を生かし、短期の滞在や、都心と地方の2拠点生活を経て将来的な移住に結び付けたい考え。

■住環境を重視
「自宅から1時間半で来られた。自転車も楽しめるし、仕事にも通える。いいところだ」

東京在住の宮坂俊夫さん(55)、直美さん(50)夫妻は口をそろえる。2人は、土浦市が昨年11月に首都圏住民を対象にした「テレワーク移住体験」に参加。2泊3日で市内ホテルを拠点に仕事やサイクリングを体験した。

都内で賃貸物件に住むが、コロナ後に在宅勤務が増加。ワーケーションに興味を持った。2人は「いきなり移住だとハードルが高いが、まずは2拠点生活も選択肢。移住も考えており、住環境や生活の質の高さを重視したい」と語った。

同市は都内まで通勤圏。自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」の結節点として、サイクリングと仕事を両立できる特長を訴える。不動産業界と組んで物件情報も提供する。市は「コロナ禍以降、転入が転出を上回った。テレワークの普及は追い風になる」と攻めの姿勢を続けたい考え。

■課題解決型
かすみがうら市は、霞ケ浦湖畔にある市の宿泊施設「古民家江口屋」を拠点にワーケーション需要の取り込みを図る。主に企業や団体など法人向けに特化しているのが特徴だ。同11月から今月にかけて企業を募り、体験プランや課題解決型プランを用意。農業や起業者向けの研修を行う実証プロジェクトも進める。

体験では、農家と消費者をつなぐアプリを開発するネット企業が参加。市内では農業後継者の問題があり、次世代技術を持つ企業も農業体験のワーケーションを実施した。市は「かすみがうらに来れば新しい形の農業を試せるという体験も提供し、移住や事業承継につながれば」と見据える。

県内では常陸太田市やひたちなか市なども海や山での余暇と仕事の体験ツアーを実施。参加者の意見を取り入れニーズを把握する。

■支援金制度
市町村がワーケーションや2拠点生活を誘致する狙いの先には、移住の促進がある。人口減の傾向が続く中、コロナ禍での〝移住熱〟に注目する。総務省の調査では、昨年1~10月の茨城県と首都圏の転出入は前年同月比で転出超が4千人も減った。県は「テレワーク移住も含まれるのでは」と推測する。

県は首都圏からの移住者向けの移住支援金制度を用意。登録企業138社に就職した人に最大100万円を支給する。

つくば市在住の横山大樹さん(29)は1年前に都内から移住。江口屋でワーケーション誘致に取り組む。都内で民泊経営の経験があり、県の支援金制度を利用して就職した。「静かな環境で、霞ケ浦の日の出を見たり、湖岸で遊んだりできる。人も温かく、自分でも感じた魅力を発信していきたい」と訴えた。

★ワーケーション
「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語で、旅先や休暇先で仕事と余暇を楽しむ新しい働き方。心にゆとりが生まれ、実践者から「リフレッシュできる」「選択の幅や視野が広がった」と評価する意見が聞かれる。自治体は、国連が掲げる2030年までの国際的な行動目標「持続可能な開発目標(SDGs)」に絡み、「働きがい」や「住み続けられるまちづくり」を掲げ取り組む。

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