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【茨城・高萩の未来 市長選を前に】 (上) 少子化

昼休みに校庭で遊ぶ児童。高萩市の子どもは20年で半減し、各小学校の各学年で1~2学級となっている=同市内
昼休みに校庭で遊ぶ児童。高萩市の子どもは20年で半減し、各小学校の各学年で1~2学級となっている=同市内


任期満了に伴う茨城県高萩市長選は30日告示、2月6日投開票で行われる。市政の課題と未来を探った。

■子ども、20年で半減 学校統廃合、議論なく
「わー」「あはは」。

高萩市内のある小学校。昼休み、校庭に児童の歓声が響く。鬼ごっこをして走り回ったり縄跳びやブランコに興じたりして、寒空の下でも元気いっぱいに遊んでいた。

しかし全国的な課題である少子化は、同市も同じ。人口減に伴い子どもの数も減り続けている。

かつて石炭産業で隆盛を誇った頃、同市には人があふれたが、エネルギー政策の転換で炭鉱は次々に閉山。人口も減少していった。

市は積極的な企業誘致を図り、1995年に人口は3万5604人まで回復。さらなる人口増の受け皿として、市住宅公社と市土地開発公社は新たな工業団地と住宅団地を用意したが、バブル崩壊後の不況もあり結局、起爆剤とはならなかった。

人口減に歯止めはかからず、今月1日現在で2万7156人と、県内の市の中では最も人口規模が小さい。出生者数も減少を続け、2020年は150人。00年の250人から20年で100人減った。0~14歳の子どもも21年10月現在2622人で、01年10月現在の5030人から20年で半減近くとなった。

各小中学校の学級数も減り、適正規模に達していないかまたは〝危険水域〟にある。

県教委は公立小中学校の適正規模について、小学校は「クラス替えが可能な1学年2学級以上の12学級以上」、中学校は「クラス替えが可能で全ての教科の担任が配置できる9学級以上」がそれぞれ望ましいとする基準を示している。

同市の小学校4校のうち東小学校は6学級で、高萩、秋山、松岡の各小学校は12学級となっている。3校ある中学校は高萩中学校が8学級、秋山、松岡の各中学校が6学級といずれも適正規模に達していない(それぞれ特別支援学級を除く)。各学級の児童生徒は20~30人強だ。

学級数が少ないと、集団生活を身に付けるための機会が減る▽人間関係が固定化されやすく児童生徒間で問題が発生した場合の修復が難しい-など教育の質の面で課題が生じると指摘される。学校運営のための経費が非効率にもなり、財政を圧迫する。

同市では山間部にあった旧君田小中学校を17年に閉校したが、それ以外に学校統廃合に向けた議論は本格化していない。市関係者は「今から再編の議論を始めても実際にできるのは10年後かもしれない」とこぼす。

一方、学校統廃合は地域コミュニティーの衰退を危惧する市民の反対や、遠距離通学といった児童生徒へのしわ寄せも懸念される。市のリーダーには、危機感とスピード感を持ちながらも丁寧な議論を推し進める姿勢が求められる。

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