部活「地域移行が急務」 有識者会議 茨城県教委に提言書

部活動改革の提言書を森作宜民県教育長(右)に手渡す柴田一浩委員長=水戸市笠原町の県開発公社ビル
部活動改革の提言書を森作宜民県教育長(右)に手渡す柴田一浩委員長=水戸市笠原町の県開発公社ビル
部活動改革に関する茨城県教委の有識者会議(委員長・柴田一浩流通経済大教授)は16日、水戸市内で開いた第5回会合で提言書をまとめ、森作宜民県教育長に提出した。子どもの健康や教員の働き方改革を主眼に、部活指導を地域や民間の団体に委ねる「地域移行」の推進が急務と位置付けた。提言を受け、県教委は「県部活動の運営方針」を年度内に改定する。

提言書は、部活動が「勝利至上主義に傾倒し、適切な休養を度外視した活動で心身に疲労を蓄積させる」といった事例を指摘。さらに「顧問の献身的な勤務に依存し成り立ってきた」と教員の負担に触れ、改善の必要性を訴えた。

提言内容は、①県部活動の運営方針の順守や見直し②生徒による主体的な企画・運営③生徒のニーズに対応した地域移行を含む活動環境の確立④教員が本務に専念できる環境整備-の四つの柱で構成した。

地域移行は、学校単位の運営から地域単位の活動に移していく考え方。提言では、学校の小規模化の中でも生徒が希望する競技・分野に参加し、専門的な指導を受けられるよう、推進を「急務」と強調した。民間指導者らの確保が課題だとして、人材バンク設立の支援、事故時の責任の明確化などの重要性を挙げた。教員が地域の指導者として兼ねる場合、超過勤務と合わせて45時間を超えないよう指摘した。

県教委は、中学での土日曜の地域移行について、2025年度までの実現を目指す方針。

提言ではこのほか、部活動の時間を平日2時間程度とする既定の運営方針に関し、スポーツ医学・科学の観点などから、「順守していない場合は強く是正を求めるべき」と主張。年間の大会参加数は、休養時間確保に向けて上限を設けるべきと訴えた。

委員からは、保護者や教員の間で改革への理解が進んでいないとして、県教委に周知の工夫を求める声が相次いだ。

柴田委員長は「生徒、教員にとって有意義な提言になった」と総括。地域移行などの改革を巡っては、市町村の間で温度差があるとして、早期改善を県教委に求めた。

《解説》実効性確保へ理解不可欠
部活動改革に関する県教委の有識者会議が提言をまとめた。部活指導を地域や民間の団体に委ねる「地域移行」が大きな柱。背景には部活が一因とされる教員の超過勤務の是正があり、労働環境改善が細やかで質の高い教育につながることも期待される。

県内公立中の昨年6月の教職員1人平均の超過勤務時間は67時間30分。県教委が調査した同4~12月は大半の月で国が定める上限の45時間を超え、6月が最多だった。同月、80時間を超えた教職員の割合は35%に上った。

地域移行の利点は教員の負担減だけではない。指導者によっては、より専門的な指導が可能になる。複数校からの競技参加で規模を維持でき、マイナースポーツでも人数を確保できる。

一方、人口が少ない地域などでの指導者の確保、管理責任、教員が民間人として指導を兼職する際の超過勤務、民間クラブも参加できる大会の拡大といった課題が山積している。

県は部活動の運営方針に提言を反映する。生徒、保護者、教員のほか、地域の理解が得られなければ、課題解決や実効性の確保は難しい。改革の内容と意義が広く知られるよう、県教委の取り組みが求められる。

【部活動改革の提言のポイント】
・「県部活動の運営方針」の順守や見直しについて徹底を図る
・生徒による主体的な企画・運営とし学校での位置付けを見直す
・生徒が一人一人のニーズに応じて地域で活動できる環境の確立
・教員が本務に専念できる環境の確立

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