老舗酒蔵火災1週間 結城酒造、再建へ「希望の光」 難逃れた酒出荷 茨城

モリシマ酒店に並ぶモノクロのラベルが貼られた「結ゆい」=水戸市城東
モリシマ酒店に並ぶモノクロのラベルが貼られた「結ゆい」=水戸市城東
茨城県結城市結城の老舗酒造会社「結城酒造」で国登録有形文化財の酒蔵2棟などが全焼した火災から18日で1週間。酒蔵の解体工事が本格化する中、被害を免れた日本酒の出荷が始まり、酒屋や飲食店の店頭に並び始めた。同社の浦里昌明社長(45)は「できる分だけやっている」と、目の前の出荷作業に打ち込む。

結城酒造の特約店、水戸市城東の「モリシマ酒店」は、商品棚の一角に結城酒造の銘柄「結(むすび)ゆい」を並べた。今回の火災を逃れた日本酒だ。

「商品を売って、結城酒造を応援する」。同店の森嶋宏会長(81)は力を込める。

火災は11日午後2時45分ごろに発生し、同文化財で江戸時代に建てられた「安政蔵」と「新蔵」を全焼するなど、酒蔵は壊滅的な打撃を受けた。

新蔵の冷蔵庫から運び出されたのが「結ゆい」だった。各地の酒蔵やボランティアの手で出荷作業が始まり、全国のファンが購入する形で、蔵元に応援の声を届ける〝希望の光〟となっている。

モリシマ酒店でも、火災直後から商品を買い求める人が後を絶たないという。「結城酒造は夫婦とも一生懸命。みんな力になりたいんだ」。森嶋会長は語る。

義援金の呼びかけも交流サイト(SNS)を中心に広がりを見せる。

県酒造組合真結(しんけつ)支部が12日夕に義援金の募集をSNSで発信したところ、投稿は一気に拡散した。フェイスブックではシェアが1日で500件超に上った。「微力ながら支援させていただきました」「少しでもお役に立てれば幸いです」といったコメントがあふれる。

同支部副支部長で来福酒造(筑西市)の藤村俊文社長(50)は「一般の人や飲食店からの反響が大きい。海外から支援したいという声もある」と説明する。結城酒造は必ず復活できると信じ、「そのためにはお金が必要だ」と訴える。

火災現場では重機による解体作業が進む。「これからのことはまだ決まっていない」と浦里社長。今はただ、目の前の出荷作業に全力を傾けている。

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