福島第1原発処理水放出 茨城県内漁業関係者「魚売れないのは困る」

漁船が停泊する大津漁港=北茨城市大津町
漁船が停泊する大津漁港=北茨城市大津町
■風評被害を懸念
東京電力福島第1原発でたまり続ける処理水を海洋放出する計画について、原子力規制委員会が18日に了承した。反発する茨城県北沿岸部の漁業関係者などからは、風評被害対策の徹底や安全性の確保を求める声が上がった。原発事故の影響が色濃く残り、新型コロナウイルスによる消費低迷の打撃を受ける中、漁業者の思いは「これ以上売れなくなっては困る」と切実だ。

「何代も漁で食べてきた。絶対反対」。福島県に近い北茨城市大津町の大津漁港にシラスなどを水揚げする山形隆さん(61)=同市大津町=は語気を強めた。東電は処理水を浄化する多核種除去設備(ALPS)のフィルター破損を放置するなど不祥事が重なり、「本当に安全なのか。どこまで信用していいのか」と疑問を投げかける。

ヒラメなどを取る漁船の船主で魚料理店主の渡辺栄次さん(73)=同=は、原発事故後を振り返り、「風評被害は絶対あるので、せめて対策と補償をしっかりしてほしい」と実感を込めて語る。海洋放出については「もちろん賛成ではないが、ほかに方法がないなら仕方がない」とため息をついた。

県水産加工業協同組合連合会の高木安四郎会長は「絶対反対だ」と従来の方針を崩さない構えだ。茨城県は干物や冷凍食品、缶詰など水産加工業も盛ん。原料となる魚は県産以外に外国からの輸入も多いが、原発事故後は水産物全体への風評被害があった。処理水放出について「消費者がどう受け止めるか。補償があっても、商品が売れなくなっては困る」と懸念する。

同市平潟町の「あんこうの宿まるみつ旅館」の社長で、同市民宿組合の武子能久組合長(46)は「北茨城は福島の隣で、経済圏や観光的に一緒。県境で対応を分けるのはやめてほしい」と強く求める。処理水に関し、観光業への説明がされていないと受け止め、「しっかりと説明してほしい。風評被害は観光業者や2次、3次産業にも対応を」と訴えた。

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