農業高の産品販売中止 茨城県教委 無償提供に転換

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茨城県立の農業系高校が生産した農産物について、茨城県教育委員会は22年度、販売することを取りやめた。無償提供に切り替えている。21年夏、県内農業系高校が出荷した生乳の品質に問題があり、他生産者の生乳も合わせて廃棄となるトラブルが起きたことへの対応。関係者からは「販売を通して学ぶことができなくなる」と反発の声も出ている。

販売中止となったのは、生乳のほか、野菜、米、花や果樹、鶏卵などの生産品と加工品。豚や牛などの家畜は対象外にする方向で検討している。

販売中止は、昨年7月のトラブルが発端。農業系高校の生乳の冷蔵タンクの電源が何らかの理由で停止、気付いた関係者が電源を入れ直した。学校は品質に問題がないと判断し出荷したが、細菌の繁殖が判明し、出荷段階で混ざった他生産者の生乳も廃棄されることになった。損害の和解金として約23万円が生じた。

県教委によると、これまで生産物は、基本的に無償提供せず、販売して売り上げ金を県に納める仕組みだった。そのため教員の間で「売り上げ」への意識が強くなり過ぎ、判断ミスにつながったと県教委は分析。販売をやめ、無償提供に切り替えることにした。

無償提供は、自治体などへの公益性を目的とした譲与(草花、苗の提供など)▽法人・団体などへの教育的価値を対価とした譲与(提供先での販売・加工実習など)▽個人への試食や調査のための配布-などを想定する。

県教委が各校に通知したのは3月下旬。無償化によって「子ども食堂に食材を提供しやすくなった」(県教委)などの前向きな声もあるとする。

一方、対応に追われる学校も出ている。販売できなくなった生産物を一部廃棄したほか、業者への出荷、学園祭や外部イベントでの直売ができなくなり、地域の催しなどへの参加見直しも余儀なくされている。

県内の農業高をこの春卒業した女性は「販売を通して生産物の価値の再認識、生産物への自信を身に付けられた」と意義を語る。40代の元PTA関係者は「子どもたちが学べるチャンスをつぶすことになる」と反発。ある教員は「販売することで地域の人との関わりの場になっていたのに」と懸念を示す。

大井川和彦知事は30日の記者会見で、「売るというやり方から、さまざまな別の形で、もっと教育上に有意義な(生産物の)使い方ができるのではないか」と強調し、販売中止は有意義なカリキュラムに変えていくための一環と説明した。

県教委は「今後、生徒や保護者にも方針を説明し、理解を図っていきたい」としている。

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