「運転見直す契機に」 高齢者の事故対策強化 実車試験 サポカー免許

高齢ドライバーの交通事故を減らそうと、5月13日から75歳以上を対象とした運転技能検査(実車試験)や、安全運転サポート車(サポカー)限定免許制度が始まった。茨城県内の教習所では早くも実車試験を受ける高齢者の姿が見られ、「自分の運転を見直すきっかけになった。いい制度だ」と前向きな声が聞かれた。
▼「最後の更新」
つくば市高見原のつくば自動車学校では5月下旬、今年75歳の誕生日を迎える茨城県取手市の無職男性が実車試験を受検した。男性は3年前に都内の交差点で、信号無視で摘発された。検査は、事前に課題の説明を20分間受けてから臨み、減点なしでの合格となった。
男性は「緊張したが合格となりほっとした。第三者からの視点で自分の運転を見直すきっかけになった。老いを認めたくない人もいるので、検査はいい制度だ」と語った。
高齢者による事故が社会問題となる中、男性は今回の更新を最後に免許の自主返納を考えている。一方で、「生活する上で車がないと大変。買い物に行くにも自転車ではちょっと…」と、生活の足がなくなる将来に不安を抱いていた。
検査員を務めた同校の成島一夫さん(64)は、検査内容について「日頃運転をしていれば難しいものではない」と説明する。
▼減点方式で採点
実車試験の対象となるのは免許更新時、誕生日の160日前を起点として過去3年間に、信号無視や携帯電話使用などの違反歴がある75歳以上のドライバー。免許有効期限の6カ月前から繰り返し受検できるが、期限までに合格しないと免許を更新できない。
県警運転免許センターの担当者は「これまでは主に認知機能の対策が講じられ、一定の成果を上げていた。より一層の事故防止を図るため、加齢に伴う運転技能の低下に着目した対策が必要になった」と解説する。
実車試験の課題は、指示速度による走行▽一時停止▽右左折▽信号通過▽段差乗り上げ-で、減点方式で採点する。
県内の75歳以上の免許保有者は、4月末現在で19万5千人。昨年1年間に免許を自主返納した同年代は6651人だった。
▼自動ブレーキ人気
高齢者の事故対策を盛り込んだ改正道交法には、サポカー限定免許も新たに導入された。サポカーは、安全運転を支援する先端技術を使う。限定免許は本人が申請する。国の性能認定を受けた衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)と、ペダルを踏み間違えたときに急加速を防ぐ装置のある車が対象だ。
茨城トヨペット(水戸市)の担当者は、「自動ブレーキが購入のポイントになっている」と顧客の傾向を明かす。高齢者からは近年、「免許を返納する」「サポカーを最後の車にする」といった声が多く聞かれるという。担当者は「自動ブレーキや車載カメラは一般的になっていくだろう」と予測する。
県警交通総務課によると、昨年1年間に県内で65歳以上のドライバーが起こした事故は1482件(死亡事故17件)で、全体の4分の1を占めた。このうち75歳以上は612件(同12件)で全体の1割。同課は高齢者向けセミナーを開き、サポカーの同乗体験や教習コースでの実車講習に取り組む。昨年度は高齢者179人が参加した。
▼「最後の更新」
つくば市高見原のつくば自動車学校では5月下旬、今年75歳の誕生日を迎える茨城県取手市の無職男性が実車試験を受検した。男性は3年前に都内の交差点で、信号無視で摘発された。検査は、事前に課題の説明を20分間受けてから臨み、減点なしでの合格となった。
男性は「緊張したが合格となりほっとした。第三者からの視点で自分の運転を見直すきっかけになった。老いを認めたくない人もいるので、検査はいい制度だ」と語った。
高齢者による事故が社会問題となる中、男性は今回の更新を最後に免許の自主返納を考えている。一方で、「生活する上で車がないと大変。買い物に行くにも自転車ではちょっと…」と、生活の足がなくなる将来に不安を抱いていた。
検査員を務めた同校の成島一夫さん(64)は、検査内容について「日頃運転をしていれば難しいものではない」と説明する。
▼減点方式で採点
実車試験の対象となるのは免許更新時、誕生日の160日前を起点として過去3年間に、信号無視や携帯電話使用などの違反歴がある75歳以上のドライバー。免許有効期限の6カ月前から繰り返し受検できるが、期限までに合格しないと免許を更新できない。
県警運転免許センターの担当者は「これまでは主に認知機能の対策が講じられ、一定の成果を上げていた。より一層の事故防止を図るため、加齢に伴う運転技能の低下に着目した対策が必要になった」と解説する。
実車試験の課題は、指示速度による走行▽一時停止▽右左折▽信号通過▽段差乗り上げ-で、減点方式で採点する。
県内の75歳以上の免許保有者は、4月末現在で19万5千人。昨年1年間に免許を自主返納した同年代は6651人だった。
▼自動ブレーキ人気
高齢者の事故対策を盛り込んだ改正道交法には、サポカー限定免許も新たに導入された。サポカーは、安全運転を支援する先端技術を使う。限定免許は本人が申請する。国の性能認定を受けた衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)と、ペダルを踏み間違えたときに急加速を防ぐ装置のある車が対象だ。
茨城トヨペット(水戸市)の担当者は、「自動ブレーキが購入のポイントになっている」と顧客の傾向を明かす。高齢者からは近年、「免許を返納する」「サポカーを最後の車にする」といった声が多く聞かれるという。担当者は「自動ブレーキや車載カメラは一般的になっていくだろう」と予測する。
県警交通総務課によると、昨年1年間に県内で65歳以上のドライバーが起こした事故は1482件(死亡事故17件)で、全体の4分の1を占めた。このうち75歳以上は612件(同12件)で全体の1割。同課は高齢者向けセミナーを開き、サポカーの同乗体験や教習コースでの実車講習に取り組む。昨年度は高齢者179人が参加した。