茨城・日立市 10~30代転出に危機感 「若者応援」施策に力 当事者目線で魅力発掘

まちの課題解決策について意見を交わした若者会議=日立市幸町
まちの課題解決策について意見を交わした若者会議=日立市幸町
人口減少に悩む茨城県日立市が、「若者」に重点を置いた施策を強化している。背景には10~30代の転出超過が目立つことへの危機感がある。県内自治体では初めて、若者(18~39歳)に特化した計画を昨春に策定。この世代が主体の「若者会議」も立ち上げ、当事者目線でまちの課題解決に取り組む動きも進む。

■フラット
今月15日夜。同市幸町の日立シビックセンターに、オンライン参加を含め、18歳から30代後半までの学生や主婦、仕事帰りの会社員、経営者など35人が顔をそろえた。若者の声を聞こうと開かれた「ひたち若者かがやき会議」の全体会。参加者はグループに分かれ、市の魅力や課題について自由に意見を交わした。

会場からは「海も山もある」「科学館や動物園があり情操教育が充実」「道が混む」「商業施設が欲しい」「駅前にファストフード店がない」などの声が上がり、交流サイト(SNS)での発信強化などが提案された。

若者会議は、若者主体でまちの将来を考え、自ら提言や実践する組織。昨年7月に発足し、現在は13人が運営に関わる。1年目は市内で農業や水産業を学ぶ「産直講座」を開いたり、若者が集える場所づくりについて小川春樹市長に提言したりした。

中核メンバーの藤田浩一さんは「年齢や属性に関係なくフラットな集まり」と語り、同じく新妻幹生さんは「ここで出た皆の声を形にしていく」と強調。本年度は若者目線でまちの魅力を伝えるポータルサイトづくりなどを進める。

■架け橋に
若者会議は、市が昨年3月に策定した「ひたち若者かがやきプラン」に基づく取り組みの一環。プランは第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略(2020~24年度)で重要テーマに掲げた「若者応援」を具現化するのが目的で、若年層がまちの魅力づくりに関わる仕組みや、支援体制づくりを目指す。

18~39歳を対象世代とし、「自分らしく生きる=かがやく」と定義。市内外の対象世代2千人に意識調査を行い、学生や経営者などの若年層も策定委員として計画作りに関わった。

基本方針として、若者が挑戦や成長できる環境づくり、気軽に集える場づくり、若者視点の情報発信などを柱に掲げる。若者会議は市の「パートナー」という位置付けで、吉成日出男副市長も「会議が市と若者の架け橋になれば」とその役割に期待する。

■市政反映
かつて20万人以上を誇った市人口は1983年をピークに減少に転じ、現在は毎年2千人以上減る傾向が続く。

6月1日現在の人口は17万人を割り込み、16万9816人。特に男性は25~29歳、女性は20~24歳に転出超過のピークを迎え、水戸近郊や東京圏への流出が目立つ。

このため、市は若年層に選ばれるまちに向けた一手として、若者のチャレンジを後押しする施策に力を入れる。

本年度は、まちの活性化につながる活動を行う団体を対象に上限15万円を交付する「若者活躍応援補助金」を新設。若者のキャリアアップを応援するため資格取得費用の一部も補助している。学生・社会人有志の「市青少年イベント企画部」が手がける恋活応援事業の予算も本年度は前年比3倍に増やし、若者会議の提言などは市政に反映させていく考え。

市女性若者支援課は「若者世代の活躍は、他の世代や地域全体に力を与える。そうした活動に寄り添い、全力で応援していく」としている。

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