柳沢筑波大教授がブレークスルー賞受賞 生命科学分野、睡眠制御の研究評価

研究について説明する柳沢正史教授=筑波大
研究について説明する柳沢正史教授=筑波大
米グーグルやフェイスブックの創業者らが出資する科学賞「ブレークスルー賞」の生命科学分野に22日、睡眠研究の分野で世界的に知られる茨城県筑波大の柳沢正史教授(62)が選ばれた。柳沢教授は、睡眠と覚醒の切り替えを制御する神経伝達物質「オレキシン」を発見、日中に突然眠り込む睡眠障害「ナルコレプシー」の原因の解明や、治療薬や睡眠薬開発の進展に貢献した。同大で記者会見を開き、「睡眠分野は社会的に重要性が認識されているが、すごく地味な分野。大きい賞でこの分野が認識されたことがうれしい」と喜びを語った。

同賞の生命科学分野は2013年に設立。同分野以外に数学と基礎物理学分野がある。日本人の生命科学分野の受賞は柳沢教授で4人目。これまでに、ノーベル賞を受賞した京都大の山中伸弥教授や、東京工業大の大隅良典栄誉教授などが選ばれている。

柳沢教授は今回、米スタンフォード大で睡眠科学を専門とするエマニュエル・ミニョー博士と共同受賞した。

柳沢教授は東京都出身。筑波大医学専門群(現医学群)を卒業後、同大大学院に進学。1991年に米テキサス大サウスウエスタン医学センターに移り、98年にオレキシンを発見。ナルコレプシーがオレキシンの欠乏により起こることなど病態の解明につなげた。現在、筑波大国際統合睡眠医科学研究機構長。2019年に文化功労者に選ばれている。

受賞について柳沢教授は「テキサス大の同僚が以前受賞していて、日本人もノーベル賞を受賞された方たちなどで『すごいな、遠いな』という感じの賞だった」と率直に語った。「かなりびっくりしたが、自分たちの貢献が認められてうれしい」と笑顔を見せた。

賞金は300万ドル。ミニョー博士と折半になる。使い道について柳沢教授は、若手研究者向けの基金創設など「有効な使い方を考えたい」と話した。「テキサス大でオレキシンを発見したのが30代。お金を心配せずに研究に没頭できる環境があったからできた。今の日本でも伸び伸び研究できる環境をつくらないと」と理由を語った。

睡眠と覚醒が脳内で切り替わる仕組みは、どのように制御されているのかほとんど分かっておらず、現代神経科学の最大の謎とも言われる。ノーベル賞の予想で候補に挙げられることもある柳沢教授は「この原理がどうなっているのか解明できれば」と今後の研究を見据えた。

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