茨城・神栖で移動動物園企画 障害児の家族、交流願う

移動動物園を開く中谷みずほさん(後列中央)とその家族、医師=神栖市内
移動動物園を開く中谷みずほさん(後列中央)とその家族、医師=神栖市内


■病院も支援、共有の場を

茨城県神栖市で脳性まひの男児を育てる母親が、市内病院の支援を受けて「移動動物園」を開こうと奔走している。脳性まひは医療的ケアが常時必要なケースが多く、保護者は世話に集中せざるを得ず、保護者同士の対話や連携は滞りがち。動物園の企画を通し、保護者や脳性まひ児のきょうだいが対話、交流できる機会になることを願っている。

移動動物園を企画しているのは、医療的ケア児や障害児家族の交流団体「たいようの部屋」を主宰する中谷みずほさん(34)。11月に神栖済生会病院(同市)の支援を受けて実施する。

日本医療機能評価機構などによると、脳性まひは、母親の妊娠中から生後4週間までの間に起きた脳の損傷で引き起こされる運動機能などの障害。原因は感染や低酸素、脳血管障害などだが、判明しない場合も少なくない。脳性まひ患者は体調を安定させること自体が難しく、保護者は経管栄養やたん吸引、おむつ交換、筋力を維持する運動補助など、常に付き添いが必要になる。

中谷さんの長男蒼頼(そら)ちゃん(6)は、生後すぐに新生児集中治療室(NICU)に入り、2歳で「脳原性運動機能障害」と診断された。蒼頼ちゃんに睡眠障害があった時期もあり、中谷さんは続けて1時間眠ることもできず、一時はうつ状態になった。「この子を殺して、自分も死のうか」-。そんな思いが脳裏をよぎることもあったという。

中谷さんは、夫の頼尚(よりひさ)さん(37)のサポートや助言で体調が回復し、保護者の交流活動を続けてきた。移動動物園を通して「気持ちを共有できる場を増やしたい。当事者が思いや経験を語り合うきっかけになれば」と願う。

移動動物園は11月20日午前10時から正午まで、神栖市溝口の市保健福祉会館駐車場で行う。重症心身障害や医療的ケアが必要な子どもと家族が対象だ。

主催は同病院内の組織「カミス『ココ』でずっとKIDS」で、たいようの部屋と県鹿行地区重症心身障害児家族会「おむすびの会」が共催する。参加費無料。

当日はバルーンアートや写真撮影会を予定。医師と看護師が支援し、体調変化時の対応や見守りに当たる。館内の一部を開放し、休憩やおむつ交換を可能とした。雨天時や新型コロナウイルスの感染状況により中止や延期、オンラインに変更の可能性がある。

参加希望者はQRコードから専用フォームに必要事項を記入して申し込む。締め切りは10月31日。

問い合わせは中谷さんtaiyounoheya.kamisu@gmail.com

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