■先行3度許す
【評】土浦日大は計3度先行されたが、その都度追い付き、最後は延長サヨナラ勝ちした。1点を追う五回1死二、三塁から鈴木の中前2点打で逆転。七回に同点、延長十一回に勝ち越しを許したが、その裏1死一、三塁から香取のスクイズで試合を振り出しに戻すと、続く後藤が中越え適時打を放ち、決着をつけた。

常磐大高は粘り強く戦い、延長十一回2死三塁から篠原の中前適時打で勝ち越した。だが、懸命の継投を見せたが、報われなかった。

■土浦日大17年ぶりV　夏の悔しさ糧に熱戦制す
延長十一回表、相手に勝ち越しを許しても、土浦日大ナインが静まることはなかった。3時間を超える熱戦は〝2年生の意地〟で、終止符を打った。

直後の反撃は1死から始まった。連打で一、三塁と好機を拡大させると、2番の香取蒼太(2年)に回った。今大会は6番に座ることが多かったが、小菅勲監督(55)に好調ぶりを買われ、打順を上げた。それでも香取は「打順が変わっても毎試合やることは変わらない」と冷静だった。カウント2ボール1ストライクからのスクイズのサインにも「絶対決められると思った」と動じることなく決め切り、追い付いた。

なおも2死二塁とサヨナラの絶好機。3番の後藤陽人(同)の視線は鋭く相手投手に向いていた。「投球練習から変化球が良くなかった。だから、それでは勝負してこないだろう」と直感を信じた。その初球、狙いの直球を振り抜くと、白球は高く上がった。「抜けろ、抜けろ」と念じる打球は風に乗り、前進守備を敷く中堅手の頭上を越えていった。一塁を回ったところで右腕を突き上げ、サヨナラを確信した。

新チームは昨年から試合に出場する経験豊富な2年生が多い分、今夏は決勝で甲子園を逃す悔しさを味わった。「先輩を甲子園へ」という重圧がのしかかり、真の実力を発揮できなかった。

「夏の決勝戦の延長をやろう」。試合前、小菅監督は選手たちに語りかけた。相手は違えど、今夏の決勝と同様に両者一歩も譲らぬ接戦となった。そこで競り勝ったナインは人一倍喜びを爆発させた。

■土浦日大・小菅勲監督(55)　関東大会も一戦必勝
最後にようやく上位打線が目を覚ましてくれた。関東大会でも一戦必勝で戦う。負けない野球を続けたい。ぜひセンバツに行きたい。

■常磐大高　あと一歩　山口、粘投も実らず
○…初優勝にあと一歩届かなかった常磐大高はエースの山口竜生(2年)が粘投したが、最後に力尽きた。

相手の強力打線にひるむことなく、9安打を浴びながらも得意の直球を軸に我慢強い投球を続けた。終盤は疲労から足をつる場面も数回あったが、「エースとしてのプライドがあった。執念で投げた」とマウンドを守り続けた。

しかし、1点リードで迎えた延長十一回。「勝ち急いでしまい、うまく制球できなかった」と、甘く入った直球を痛打され、1死一、三塁とされたところで無念の降板となった。

チームを頂点に導けなかったが、背番号1は「今度は勝たせる投球をする」ときっぱり語り、選抜大会出場が懸かる関東大会を見据えた。

■常磐大高・海老沢芳雅監督(61)　ミスから流れ渡した
細かい守備のミスから相手に流れを渡してしまった。関東大会に向け、投手の制球力や守備力を改善していきたい。

◇ひたちなか市民=第1試合
▽決勝
常磐大高　20010010001│5
土浦日大　00202000002x│6
(延長11回)

▽二塁打　諸岡
▽暴投　山口、小森、藤本
▽試合時間　3時間7分
▽審判　横山、生田目、菅谷和、堀米

常磐大高　打安点振球
⑦　佐藤　62010
⑥　篠原　42111
④　沢田　51011
③　茂木　42011
⑤　諸岡　41100
R5　阿部　00000
⑨　関口　31210
9　岩沢　10000
19　堀江　10000
①91　山口　50000
1　仲田　00000
②　吉崎　52010
⑧　木村　30030
犠盗失併残
4030104111493

土浦日大　打安点振球
④　中本　62020
⑧　香取　52100
⑥　後藤　62110
⑦　太刀川　52000
②　塚原　40010
⑤　鈴木　51200
③　松田　51010
⑨　勝田　40001
①　小森　21000
1　藤本　32000
犠盗失併残
2010104513451

投手　回数　打安振球失
山口　62/3　329514
堀江　1/3　10000
山口　31/3　133002
仲田　1/3　21000

小森　5　257323
藤本　6　234612