農研機構 サツマイモ新品種 菓子向け「ひめあずま」開発 茨城・つくば

農研機構が開発したサツマイモの新品種「ひめあずま」の焼き芋(農研機構提供)
農研機構が開発したサツマイモの新品種「ひめあずま」の焼き芋(農研機構提供)
舟和の芋ようかん(同社提供)
舟和の芋ようかん(同社提供)
■病害虫に強く、好食感 加工会社 ベニアズマの後継期待

菓子加工に適したサツマイモで待望の新品種-。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)が、ホクホクとした「粉質」で病害虫に強いサツマイモの新品種「ひめあずま」を開発した。食味や食感は、菓子加工用に重用されてきたベニアズマに似ており、より病害虫に強い上、外観も良い。作付が近年減少するベニアズマの後継品種として、菓子会社から期待の声が上がっている。

ひめあずまは、ホクホクとした食感と貯蔵性の高さが特長。収穫直後から越冬後まで食感が変わらない特性もある。イモの外観や形状がきれいにそろいやすく、品質の良い「A品」率が高い。

ベニアズマは一部が肥大する塊根や表面の凹凸ができやすく、A品になりにくい実態があった。ひめあずまはベニアズマと同等の収量が見込め、生産者の所得向上が期待できる。

田口和憲上級研究員は「ベニアズマと比べ、完全に劣るところは見当たらない。生産者のメリットが確保できる」と胸を張る。

開発のきっかけはベニアズマの供給不足だった。さらに近年の焼き芋ブームで、ねっとりとした食感で高糖度の「べにはるか」の需要が増加。べにはるかはベニアズマに比べ病害虫に強く、需要増も相まって品種の切り替えが加速していた。

農林水産省のまとめによると、2015年産の茨城県の品種別作付面積はベニアズマが47・5%の3197ヘクタールで最も多く、べにはるかが28・3%の1903ヘクタール。翌16年産はべにはるかがベニアズマをわずかに上回り、20年産はべにはるかが41・3%の2893ヘクタール、ベニアズマが25・2%の約1770ヘクタールと完全に逆転状態となった。

ベニアズマは供給不足を受けて仕入れ値が高騰した。老舗和菓子店の舟和(東京)は昨秋、看板商品「芋ようかん」の税別価格を1本120円から160円に引き上げた。価格改定は14年以来7年ぶり。イモの仕入れ値は同年から今年までに約2倍以上となっていた。同社で使うイモは鉾田市や大洗町などの茨城県産がメインという。

同社の芋ようかんは、ふかしたイモに砂糖と塩のみを加えて作る。凝固剤を使ったり型にはめたりしないため、原料のイモにはホクホクとした粉質が欠かせない。イモ本来の甘さを生かすため、生の状態での糖度は10%以上が必要で、条件に合うのがベニアズマだった。

仕入れを安定させるため、仕入れ先を拡大し、緊急時の仕入れ先も確保。さらに鉾田市の20アールでベニアズマの自社栽培を始め、今月上旬には約6トンを初収穫した。それでも同社が使うイモの全体量に比べれば少量にとどまる。

小林寛子社長は「ひめあずまの開発をきっかけに、粉質のイモの作付けが増えたらうれしい。自分たちでも畑で栽培したい」と新品種に期待を寄せる。

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