地域課題、アートで解決 北茨城の里山拠点に活動の夫婦、水戸で初の個展

夫婦アートユニット「檻之汰鷲」の石渡のりおさんとちふみさん=北茨城市関本町富士ケ丘
夫婦アートユニット「檻之汰鷲」の石渡のりおさんとちふみさん=北茨城市関本町富士ケ丘
耕作放棄地に咲かせたハスをモチーフにした作品=水戸市東原の市立第一中学校内にある「ギャラリーひのたて」
耕作放棄地に咲かせたハスをモチーフにした作品=水戸市東原の市立第一中学校内にある「ギャラリーひのたて」


茨城県北茨城市の里山を拠点に活動する夫婦アートユニット「檻之汰鷲(おりのたわし)」の初個展が、水戸市立第一中学校内のギャラリー「ギャラリーひのたて」(水戸市東原)で開かれている。山間部に暮らし、その環境の中で着想を得て生み出したオブジェや絵画計9点が展示されている。夫の石渡のりおさん(48)は「中学校で展示できるのはとてもうれしい。アートを通じ、今後も地域課題を解決していきたい」と話す。

アートユニットは20年前、妻のちふみさん(46)との結婚を機に結成。身近にある材料を使った生活の中から生まれるアート「生活芸術」を目標に掲げ、活動を続けている。

ユニット名「檻之汰鷲」には「檻のような社会から、大空を羽ばたくワシになる」という思いが込められる。のりおさんは、2017年から北茨城市の地域おこし隊員として移住。「自然に囲まれ静かな地域。作品制作にいい環境」と、任期満了後もこの地域で定住を決めたという。

夫妻が暮らす揚枝方地域は、北茨城市の山間部に位置し12世帯約20人が暮らす。地域は高齢化が進み、耕作放棄地が目立つ。東京都出身ののりおさんは「後継者がいない。社会が(ここで)農業を営みながらも、生活できる地域にしてこなかった結果」と指摘する。

今展のタイトルは「ここにある-COCONIALISM」。空き教室を利用したギャラリーには、耕作放棄地で育てられた美しいハスの花やコスモスの花畑をモチーフにした絵画などが飾られている。

のりおさんは「ハスやコスモスの花が(この地域で)咲いたことで、高齢者やアマチュアカメラマンが立ち寄る場所になった。耕作放棄地は使い方次第で活路を見いだせる」と、地域の活性化に期待を込めた。一方、ちふみさんは「北茨城の澄んだ空気、きれいな空の色を作品から感じてもらえたら」と穏やかに語った。

同展は2月3日まで。(日曜と1月9日までは休館)。無料。要予約。ギャラリーひのたて実行委(電)080(4782)4321。

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