指定ごみ袋 自治体で値段が違う理由 茨城では最大3倍の差

異なる値段で販売されている水戸市(上)と茨城町の指定ごみ袋(下)=水戸市内のホームセンター
異なる値段で販売されている水戸市(上)と茨城町の指定ごみ袋(下)=水戸市内のホームセンター
「同じサイズ、同じような見た目なのに、自治体によって値段が違うのはなぜ?」。指定ごみ袋にそんな疑問を持ったことがある人もいるのではないだろうか。「ごみ有料化」の実施の有無や、有料化に充てる金額の違いが価格差に現れ、茨城県内では最大で約3倍の価格差が生じている。有料化にはごみ排出量の抑制やごみ処理費用を補塡(ほてん)する目的があり、その効果を実感している自治体もある。

■異なる値段
水戸市内のホームセンターでは、隣接する水戸市と茨城町の指定ごみ袋がそれぞれ売られている。「燃えるごみ」の袋は、色が違うだけで大きさは同じ45リットル。販売価格は水戸市が300円、茨城町が200円(いずれも税込み、10枚入り)だった。

水戸市の担当者によると、「たくさんごみを出す人がごみ処理費用も多く負担する」という公平性の観点から、300円の袋代を全てごみ処理手数料に充てている。袋の製造や販売にかかる費用は、市が別の財源から支出している。

一方、茨城町は料金の一部をごみ処理手数料に充てつつ、200円の内訳には製造費や販売委託費を含んでいるという。

■自治体判断
県資源循環推進課によると、「有料化」とは、ごみ処理にかかる費用を袋の製造費などに上乗せして販売することをいう。水戸市と茨城町はどちらも有料化しているが、有料化に充てる金額や販売価格に製造費などを含むか否かが価格差につながっていた。

同課によると、家庭ごみの処理は廃棄物処理法で市町村の業務と定められている。このため、指定ごみ袋の価格は各自治体が自由に決められる。有料化にはごみ排出量の抑制や、ごみ処理費用を穴埋めする目的がある。

45リットル10枚入りの袋で比較すると、有料化を実施していない阿見町は最大99円で、300円の水戸市とは約3倍の価格差が見られた。

昨今の燃油価格の高騰で、ごみ袋の原価も上がっている。40リットル(10枚入り)を110円で販売する龍ケ崎市の担当者は、「110円は以前、原価相当の価格として決められた。今は原価分に足りているのかどうか」とこぼす。

■削減効果も
環境省の調査によると、県内では2020年度時点で44市町村のうち17市町村が有料化を実施し、約4割に及ぶ。同省は「有料化の手引き」を自治体に配布するなど、有料化を国全体で取り組む施策として位置付け、全国では約6割の自治体が有料化に踏み切っている。

ごみ袋の方針は自治体によりさまざまだ。つくば市やかすみがうら市は、販売価格を固定しない市場価格制度を採用している。

下妻市や八千代町は、一定枚数を無料配布し、不足時は10枚500円で購入できる仕組みを設け、ごみの減量を狙う。古河市や五霞町は、そもそも指定ごみ袋制度がない。

有料化でごみ削減に成功した事例もある。土浦市は18年、有料化に伴い45リットルのごみ袋(10枚入り)を160円前後から500円に値上げした。その後ごみの減量を達成し、21年10月からは300円に値下げした。

同市の担当者は、値下げしてもごみの減少傾向は続いているとして、「市民に分別の意識が根付いたのでは」と分析。引き続きごみの減量とリサイクルの推進を呼びかけている。

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