《マイタウン・そこが知りたい》茨城・鹿嶋市予算案 配分廃止し断捨離編成

2023年度予算案について発表する鹿嶋市の田口伸一市長=同市役所
2023年度予算案について発表する鹿嶋市の田口伸一市長=同市役所
■既存事業整理 サービス維持へ財源確保
茨城県鹿嶋市が、2023年度一般会計当初予算案の編成で「断捨離」に取り組んだ。行財政改革の一環で、各部ごとに予算額を割り当てる従来の「枠配分方式」を試験的に廃止して、ゼロベースでの一括査定を実施。各事業の支出根拠を明確にする一方、一部事業の廃止・縮小に取り組む方針を打ち出した。持続可能な財政運営で市民サービスを維持・向上させるため、今後は一部施設の統合も検討したい考えだ。

市の予算編成は本年度まで20年以上、各部に割り当てられた予算枠を部内で調整し、担当部署へのヒアリング、財政課の査定などを経て予算案を決める編成方法を採用してきた。

しかし、本年度は各部への予算枠割り当てを撤廃し、財政課が予算要求を全て査定する方式に変更。23年度予算案では、持続可能な財政運営に向け、新たな財源確保に加え、既存事業の無駄を省き、市民サービス向上やまちの課題解決に充てる方針を打ち出した。

枠配分方式の廃止は、本年度からスタートした「第4次市総合計画」に沿った予算を組んだり、根拠が不明確な事業への支出を抑制したりする意識を、職員に徹底させる狙いもあるとみられる。

市は歳入増加策として、短期的にはふるさと納税の拡充、中長期的には洋上風力発電関連産業の総合拠点化を掲げる。ふるさと納税の寄付総額については、23年度に2億円、26年度には10億円を目指す考えだ。

歳出抑制策については、既存事業を「やめる、減らす、変える」(田口伸一市長)ことを徹底したい考え。23年度予算案では、高齢者宅への配食サービス委託、婚活イベント事業などを廃止。75歳以上が対象の「長寿祝い金」は、米寿や100歳など節目の年齢を迎える高齢者に限定する方針を示す。

市施設の統合も視野に入れる。市立衛生センター(同市平井)と市浄化センター(同)の統合計画策定の可否を検討する事業には1045万円を計上。また、浄化センターに太陽光発電を導入して運転経費を節減し、売電事業に取り組めるかどうかの調査に1千万円を充てる。

同市では今後、少子高齢化の進展に伴い、市税の増収が見通せない状況で、財政再建は急務。田口市長は16日開会の市議会3月定例会で、「財政状況は大変厳しい。既存事業の整理整頓に取り組み、市民の負担を増やさずに市民サービス維持・向上のため、財源確保につなげたい」などと意欲を見せた。

ニュース一覧へ

全国・世界のニュース