雇調金不正受給 水戸京成百貨店が13億4400万円返還

京成百貨店=水戸市泉町
京成百貨店=水戸市泉町
水戸京成百貨店(水戸市泉町)が、新型コロナ対策の国の雇用調整助成金(雇調金)など3億円余りを不正受給していた問題で、茨城労働局は28日、支給を取り消し、全額を返還するよう命じる処分を行ったと発表した。処分は20日付。同社によると、返還額はペナルティーを含め、約13億4400万円。同社は28日までに全額を返還した。

返還したのは、雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金の総支給額10億7300万円のほか、支給額の2割相当のペナルティーと年利0・03%分の延滞金。親会社の京成電鉄(千葉県)から全額を借り入れた。

同労働局は同社に対し、今後5年間、雇用保険を財源とする助成金を受けられない処分も出した。

同社は2020年4月から22年10月までの間、勤務データを改ざんし、出勤していた従業員を休業扱いにして助成金を過大に請求していた。

22年11月に茨城労働局の査察を受けて同社が社内調査を始め、12月に取締役総務部長がデータ改ざんを認めた。23年1月31日に調査報告書を茨城労働局に提出し、不正を公表していた。

調査では、不正は総務部長が指示し、人事担当など計5人が関与したと結論付けた。3月1日に臨時株主総会を開き、不正に関わった役職員の処分を決める。

同社によると、公表直後の2月上旬ごろは「信頼を裏切られた」といった批判の声が相次いで寄せられ、百貨店の来店客数も大きく減少した。ただ、中旬以降の客足は持ち直しているという。

同社は「社内のコンプライアンス(法令順守)体制を再整備するなど再発防止策を講じ、お客さまに安心して買い物していただけるよう信頼回復に取り組む」としている。

■地域での責任自覚を 大井川和彦知事の話
 雇用調整助成金の不正受給に至り、処分を受けたことは甚だ遺憾だ。県内唯一の百貨店であり、本県の地域経済での役割は極めて大きい。地域に根差した商業施設としての責任を自覚し、しっかりとコンプライアンスに努めてもらいたい。

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