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【扉を開けば 茨城・ひきこもりと向き合う】 (下) 《連載:扉を開けば 茨城・ひきこもりと向き合う》(下) 親の会 対話で和らぐ孤立感

ひきこもり親の会「スマイルアップ元気会」が活動10年を機にまとめた冊子を持つ佐藤久美子会長。「気軽に足を運んで」と語る=土浦市内
ひきこもり親の会「スマイルアップ元気会」が活動10年を機にまとめた冊子を持つ佐藤久美子会長。「気軽に足を運んで」と語る=土浦市内


■見守り続け、子に伝わる

班ごとに3~4人の参加者がテーブルに着き、とつとつと体験を語り出す。

茨城県土浦市の公民館の一室。1人が自分の思いを語り、他の人はそれに共感する。ひきこもりの子どもを持つ親に元当事者も加わり、悩みを打ち明け、子どもとどう接するかを学び共有する。ひきこもり・不登校の親の会「スマイルアップ元気会」の会合の一こまだ。

■気持ち理解

同会は2011年の東日本大震災後、県土浦保健所と連携し会員56人で発足した。月1回の月例会を開き、親同士やひきこもり経験者が対話を重ねる。対象の子どもは小中学生から50代まで幅広い。最初は家庭のことを語れない人や、泣きながら語る人もいた。参加後は「仲間と話して心が軽くなり、抱え込みや孤立感が和らいだ」「笑顔で話せるようになった」といった感想が聞かれる。

会長の佐藤久美子さん(51)も、わらにもすがる思いで来た一人だった。

長男(32)は学校で注意されたのを機に、中学2年から引きこもった。最初は現実を受け止められず、「なぜ」と自問自答した。仲間と話すうち、子どもの気持ちを理解しようと接し方を変えた。

親に認められると、子どもは自信が付いて外に出てみようと考えるという。1~2カ月褒め続けると、「これくらいで褒めてくれるんだ」と自信につながる。佐藤さんは「子どもは親を見ている。親が見守っていれば子どもに伝わる」と強調する。

■充電期間

佐藤さん自身も父が病気で亡くなった時、22~26歳で引きこもった。仕事に行けず鬱(うつ)状態になり、5年弱かかって復帰した。この経験は子どもへの理解にもつながった。「長い人生、充電期間があってもいい。そう伝えると子どもは安心した」

長男は今も家にいる。自転車で買い物に行き、家事をして、祖母を気遣う日々。「自分が役に立っている」と感じているようだ。

佐藤さんは「就職は二の次でいい。学校に行かないと駄目、仕事に行かないと駄目という考えから自由になれた」と受け止める。

親が80歳、子どもが50歳を迎え、共に高齢化して孤立する「8050問題」は、会員にとって切実な問題として迫る。それでも「その時はその時。残された人生を楽しんでほしい」と割り切る。

■横の連携

参加者でひきこもりの40代の息子がいる70代の母親は、徐々に息子と話せるようになった。「子どものつらさが分かった。親が変われば子どもも変わる」と振り返る。50代の母親も「今は休む時間。待つしかない」と、参加後は心を落ち着かせることができた。

互助会として門戸を開き、悩む人を迎え入れる同会。小林幸弘副会長(73)は「ひきこもりで悩む人に、こういう会があるよ、元気を出して一緒に考えようと伝えている」と話す。

会は、支援の必要性がある人を団体や行政につなぐ「入り口」の役目も果たす。

佐藤さんは「すぐ解決しなくても出口はきっと見えてくる。少しずつ成長し、今できることを精いっぱいやれば、変化のチャンスが必ず来る」と話し、横の連携を続けていく考えだ。

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