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2024年の北茨城「御船祭」新祭事船 兵庫から陸送で到着、歴史資料館で展示

兵庫県姫路市から到着し、北茨城市漁業歴史資料館「よう・そろー」に運び込まれた祭事船=同市関南町仁井田
兵庫県姫路市から到着し、北茨城市漁業歴史資料館「よう・そろー」に運び込まれた祭事船=同市関南町仁井田


茨城県北茨城市大津町に伝わる5年に1度の大祭「常陸大津の御船祭」で使う新たな木造祭事船が25日、同市関南町仁井田の市漁業歴史資料館「よう・そろー」に運び込まれた。兵庫県姫路市で建造され、23日から3日間かけて陸送。来年5月に予定する御船祭で使われる。本番まで同資料館で一般公開している。

御船祭は北茨城市大津町の佐波波地祇(さわわちぎ)神社の祭礼。豊漁と海上安全を祈願し、江戸時代から続く。全国でも唯一という船の陸上渡御で、500人ほどの手で引き、街中を駆け抜ける。2017年3月に国の重要無形民俗文化財に指定された。次回は来年5月2、3日に開催する。

市生涯学習課によると、07年に建造した祭事船が老朽化したため、2年間かけて新造。総事業費は約2800万円で、国の補助を受けた。現在は地元に木造和船を造れる船大工がおらず、文化財の和船修理や建造の実績と技術を持つ、オクムラボート販売(姫路市)に依頼した。

新祭事船は、完成すると全長約15メートル、幅約3・6メートル、重さ約7・5トン。以前の船と同様の大きさと重さにしている。激しくぶつかる衝撃を計算し、通常の船には入らない補強の部材を入れたり、骨組みの間隔を狭くしたりして、強度を増した。船は白を基調とし、側面にはエイの一種「カラカイ」やタイなどの魚、縁起物の装飾、サクラが描かれている。

この日は、大型トレーラーに乗って同資料館に到着した新祭事船を、常陸大津の御船祭保存会のメンバー約50人や市職員が迎え、館内に格納した。この日から1週間程度、姫路市から来た船大工ら5人が仕上げの作業をして完成させる。

次回の祭の当番町「大中」の高倉雅友頭取(56)は「新しい船が来ると、コロナ禍で沈んでいた町も大いに盛り上がっていくのでは。みんなを元気付けるような御船祭の開催に向けて、頑張っていきたい」と意気込んだ。

オクムラボート販売の奥村雅晴社長(69)は「保存会の熱い気持ちが伝わった。来年も(御船祭を)ぜひ見に行きたい」と期待した。

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