自転車、4月1日から努力義務 ヘルメット、慣れぬ着用 高校生「恥ずかしい」敬遠も
自転車乗車時のヘルメット着用が道交法改正で4月から罰則のない努力義務になる。茨城県内で自転車関連の死傷者は高校生の割合が最も多いにもかかわらず、生徒からは「恥ずかしい」「着けづらい」と慣れない着用を敬遠する声が上がる。電車と自転車を併用して通学する生徒は、「ヘルメットの置き場がない」といった問題を抱える。量販店は義務化に向けて販売を強化するものの、浸透には時間がかかりそうだ。
■本音
2月15日朝、茨城県警はヘルメット義務化を見据え、水戸市内の交差点で街頭指導を実施し、自転車の利用者に着用を呼びかけた。ただ、通勤通学者でヘルメットを着けた人はほとんどいなかった。
警察官にヘルメットの重要性を説明された高校1年の女子生徒(16)は、「着けた方が安全だが、恥ずかしいと思ってしまう」と本音を漏らした。高校2年の男子生徒(17)は「普段着けないので、正直着けづらい」。
県警交通総務課によると、2022年の1年間に県内で自転車関連事故の死傷者は893人だった。このうち高校生は210人(23・5%)で最も多く、次に中学生(12・7%)が続いた。事故当事者のヘルメット着用率は高校生が1・9%と、中学生の73・5%と比べて著しく低かった。
■野球部が率先
中高生が課題と捉えた県警は、1月までに中学と高校計27校を「自転車安全利用協力校」に指定し、浸透を図る。
協力校の一つ、常磐大高(水戸市)は、野球部の生徒にヘルメットを着用してもらう取り組みを新年度からスタートさせる。部員は練習の際、校舎から5キロ近く離れた水戸市郊外のグラウンドまで移動する。部員たちに〝お手本〟となってもらい、ゆくゆくは学校全体に浸透させる狙いがある。強制はせず、生徒の自主性に任せるという。
同じく協力校の県立那珂高(那珂市)は、保健体育の授業やホームルーム、終業式などを通じ、義務化を生徒に周知した。駅から自転車に乗って登校する生徒の場合、「駅に置きっぱなしでは盗まれてしまい、悪天候時にぬれてしまう可能性がある」(同校)として、ヘルメットをどこに置くのかが課題に浮上。今のところ、校則での義務化も難しいと判断した。
■売り上げ倍増
自転車販売店は、ヘルメットの売り出しに力を入れる。
「サイクルベースあさひ水戸笠原店」(水戸市)は、店内に着用義務化を知らせるポップを設置した。運営会社によると、1月後半から全店舗で売り場を拡大し、2、3月は会社全体で前年同月比の倍以上の売れ行きとなった。カジュアルなデザインの商品が人気で、シニア層や通学で自転車を利用する人が多く訪れるという。
県教委は2月、県内の公立高校に着用の重要性を指導するよう通知した。「かぶってほしいが強制まではできない」との立場で、各校へ周知、広報に引き続き取り組むとしている。
県警交通総務課によると、県内では18~22年の5年間で、自転車乗車中の事故で61人が死亡し、頭部の負傷が致命傷となった人が約6割を占めた。同課の川上栄司総括理事官は「万が一のことを考えヘルメットの着用を」と話した。
■本音
2月15日朝、茨城県警はヘルメット義務化を見据え、水戸市内の交差点で街頭指導を実施し、自転車の利用者に着用を呼びかけた。ただ、通勤通学者でヘルメットを着けた人はほとんどいなかった。
警察官にヘルメットの重要性を説明された高校1年の女子生徒(16)は、「着けた方が安全だが、恥ずかしいと思ってしまう」と本音を漏らした。高校2年の男子生徒(17)は「普段着けないので、正直着けづらい」。
県警交通総務課によると、2022年の1年間に県内で自転車関連事故の死傷者は893人だった。このうち高校生は210人(23・5%)で最も多く、次に中学生(12・7%)が続いた。事故当事者のヘルメット着用率は高校生が1・9%と、中学生の73・5%と比べて著しく低かった。
■野球部が率先
中高生が課題と捉えた県警は、1月までに中学と高校計27校を「自転車安全利用協力校」に指定し、浸透を図る。
協力校の一つ、常磐大高(水戸市)は、野球部の生徒にヘルメットを着用してもらう取り組みを新年度からスタートさせる。部員は練習の際、校舎から5キロ近く離れた水戸市郊外のグラウンドまで移動する。部員たちに〝お手本〟となってもらい、ゆくゆくは学校全体に浸透させる狙いがある。強制はせず、生徒の自主性に任せるという。
同じく協力校の県立那珂高(那珂市)は、保健体育の授業やホームルーム、終業式などを通じ、義務化を生徒に周知した。駅から自転車に乗って登校する生徒の場合、「駅に置きっぱなしでは盗まれてしまい、悪天候時にぬれてしまう可能性がある」(同校)として、ヘルメットをどこに置くのかが課題に浮上。今のところ、校則での義務化も難しいと判断した。
■売り上げ倍増
自転車販売店は、ヘルメットの売り出しに力を入れる。
「サイクルベースあさひ水戸笠原店」(水戸市)は、店内に着用義務化を知らせるポップを設置した。運営会社によると、1月後半から全店舗で売り場を拡大し、2、3月は会社全体で前年同月比の倍以上の売れ行きとなった。カジュアルなデザインの商品が人気で、シニア層や通学で自転車を利用する人が多く訪れるという。
県教委は2月、県内の公立高校に着用の重要性を指導するよう通知した。「かぶってほしいが強制まではできない」との立場で、各校へ周知、広報に引き続き取り組むとしている。
県警交通総務課によると、県内では18~22年の5年間で、自転車乗車中の事故で61人が死亡し、頭部の負傷が致命傷となった人が約6割を占めた。同課の川上栄司総括理事官は「万が一のことを考えヘルメットの着用を」と話した。