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被害者支援ピンチ コロナで企業寄付減 茨城のセンター 相談絶えず支出増加

犯罪被害者の支援活動に取り組む「いばらき被害者支援センター」=水戸市柵町
犯罪被害者の支援活動に取り組む「いばらき被害者支援センター」=水戸市柵町


■資金難、センター体制縮小も

殺人事件の遺族や性暴力の被害者らを支援してきた公益社団法人「いばらき被害者支援センター」(水戸市)が、資金難に苦しんでいる。新型コロナウイルス禍で企業からの寄付が減った半面、物価高や相談件数などの増加で支出が増えたためだ。収支は2年連続で赤字となる見通しで、今後も資金不足が続けば、相談体制縮小の恐れもある。

同センターは、前身団体も含めると28年の歴史がある。被害者や遺族に対し、病院や警察、裁判所に付き添ったり、自治体や法テラスなど支援窓口を紹介したりする活動を展開している。性暴力被害者の支援にも力を入れ、県産婦人科医会や県警などと連携して初動対応から医療、心理的ケア、捜査支援までを幅広くサポートする。

寄付金や補助金頼みで運営が不安定だった同センターに追い打ちをかけたのはコロナ禍と物価高。コロナ禍で新たに備品が必要になり、物価高では同行支援時の交通費などもかさんだ。このため、2021年度は約100万円の赤字を計上し、22年度決算も赤字となる見通しだ。

独自の運営資金確保に向け、同センターは、企業の協力で集めた古本を売却する「ホンデリング」事業を実施したり、購入代金の一部が同センターに寄付される自動販売機を県内各地に設置したりして、年間約200万円近くの寄付金を集めている。

ただ、同センターを頼る被害者は絶えず、相談や支援件数の増加は続いている。22年度の支援件数は20年前の約3倍に当たる千件超で、うち半数は性暴力関連が占める。また、法廷への付き添いなど直接支援は、19年度の43件から20年度は81件、21年度は104件と2年間で2倍以上に増加した。

同センターは、支援に伴う経費増で運営が厳しい状態が続いた場合、事務所の移転や別目的で確保していた資金の取り崩し、広報啓発活動の減少も視野に入れざるを得ない状況という。人員不足にも陥っており、職員は「善意の会員で運営しているが、限界はある」と肩を落とす。

森田ひろみ事務局長は「支援の質は落としたくない」としながらも「経費削減のため直接的な支援から電話対応に変わるなど、満足な支援ができなくなってしまわないか心配だ」と話した。

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