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茨城・高萩の職人養成機関 畳の文化 守り抜く 訓練生減少も指導に熱

畳工芸品を制作する横田龍哉さん(右)と指導する市川毅校長=高萩市赤浜
畳工芸品を制作する横田龍哉さん(右)と指導する市川毅校長=高萩市赤浜


全国で5校しかない畳職人の養成機関の一つで、茨城県が認定する「県畳高等職業訓練校」(高萩市赤浜)が、訓練生減少に長年苦しんでいる。畳需要の減少に伴い、ここ10年の入校者は毎年1~3人程度。同校関係者は、数少ない訓練生に「畳の文化を引き継いでほしい」と伝統の継承に期待を寄せ、地道な指導を続けている。

同校は、職業訓練法人「県畳高等職業訓練校協会」が運営。1971年に開校し、2年間で壁掛けや屏風(びょうぶ)などの畳工芸を本格的に学べる。

訓練生は工芸品の制作で手の柔軟性を鍛えた後、手縫いによる表面の張り替え、補修、寸法取りなど本格的な技術を習得し、畳製作1、2級の技能資格取得を目指す。設置数が限られるため全国各地から訓練生が集まるのが特徴で、同校ではこれまで約350人の卒業生を送り出してきた。

全国畳産業振興会(京都市)によると、畳は日本固有の敷物で、平安時代に構造の原型が確立。鎌倉期以降は部屋に敷き詰めるようになり、書院造りや数寄屋造りなど和風建築の発展などに伴って普及したとされる。

しかし、近年は住宅の洋式化が定着し、畳需要は低迷している。農林水産省の統計によると、96年に2694万枚を誇った畳表の生産枚数は2020年には250万枚と、1割未満に落ち込んだという。

このため、訓練生の入校は次第に減少し、ここ10年は毎年1学年3人以下。現在はわずか2人だ。

同校の運営は、授業料のほか、住宅や寺社の畳製作・修理、同校併設の工芸美術館の入館料などでまかなっているが、市川毅校長(64)は「運営は確かに苦しい」と打ち明ける。指導員は市川校長を含め2人。廃校の2文字が頭をよぎることもあったという。

同校存続への思いを後押しするのは、少ないながらも意欲的に技術を習得しようとする若者の姿だ。

今春入校した福島県郡山市出身の横田龍哉さん(18)は、実家が畳店。畳の魅力を「寝転べて、独特の香りがするところ」と語り、将来は「日本文化を守り抜き、新たな挑戦をしたい」と意気込む。

市川校長は「熱意ある若者がいる限り続け、立派な職人を育てたい」。今後も、畳文化の伝承に向けて指導を続けるつもりだ。

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