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飲食店「また打撃」 茨城・取手の双葉地区 コロナ禍経て被災

床上浸水の被害に遭った飲食店で、水に浸かった厨房内の棚から皿を取り出す店主の女性=8日午後2時35分、取手市双葉
床上浸水の被害に遭った飲食店で、水に浸かった厨房内の棚から皿を取り出す店主の女性=8日午後2時35分、取手市双葉


台風2号や梅雨前線の影響による大雨で約600棟が浸水した茨城県取手市双葉地区で、被災した飲食店が途方に暮れている。3年余りのコロナ禍をようやく乗り越え、「これから」という矢先の被害。故障した冷蔵庫や汚れた器を処分するなど片付けに追われる中、店主らは「再開のめどが立たない」と話す。

「水に沈んだ店を見た時はショックだった」。軽食やカラオケを提供する「カラオケスエヒロ」の店主、児玉春子さん(85)は8日、汚れた棚を雑巾がけしながら、つぶやいた。

高さ20センチ以上の浸水により、冷蔵庫は故障し、食器や調理器具は汚れて使えなくなった。

双葉地区で1人暮らしする高齢者たちの憩いの場だった。3月、体調不良で店を閉めると、なじみの客から「気兼ねなく集まれるみんなの居場所。どうか続けてほしい」と頼まれ、4月に再開したばかりだった。

被災後、長女らの助けを借りて店の清掃や消毒を続ける。「お客さんと話していると私も元気になれる。なんとか店を続けたい」と思っているが、再開のめどは立っていない。

居酒屋「いさ子」の店内では、浸水の跡が戸棚に残る。店主の菅原いさ子さん(75)は店だけでなく、同町内の自宅も被災した。「足は痛いし、店の掃除は進まない」と店内の椅子に腰かける。

同地区に住んで55年。店を始めて13年がたつ。「コロナ禍で休業して、やっと乗り越えたと思ったら、今度は浸水」とつぶやく。

被災後「いつ再開するのか、常連さんから聞かれるが、予定は立たない」と話す。

飲食店を営む男性(70)は大雨の翌朝、店舗の前で膝上まで水に漬かった。

店を営み40年。店内に敷き詰めた1枚のじゅうたんは特注品で、緑地に青色、控えめな花柄模様が自慢だった。水を吸い込み、重くて持ち上げられず、「1人で切り刻んで剥がしていたら、涙が出てきた」と話した。

コロナ禍を乗り越えた末の浸水被害。「再開したいが、いつできるか」。再び大雨の予報を受け、店舗の前に土のうを積んだ。

■茨城県内のけが人、計4人に 床上浸水472件に増える

台風2号や梅雨前線の影響による大雨で、茨城県は8日、新たに行方市で2人のけが人を確認したと発表した。いずれも軽傷で、人的被害は計4人となった。

県防災・危機管理課によると、同日午後4時現在の県内浸水被害は、床上浸水が新たに石岡市で5件、稲敷市で2件、行方市で1件増え、12市町で472件。床下浸水は16市町村で292件。取手市では3世帯9人が避難所生活を送っている。道路冠水などの被害は23市町村で258カ所。

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