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パッチワークキルト作家の中山さん 映画や舞台から着想 茨城・水戸

次の作品展へ向けて制作を進める中山弘子さん=水戸市内
次の作品展へ向けて制作を進める中山弘子さん=水戸市内


「いつどこで使うか分からないから、どうしても増えてしまう」と話す茨城県水戸市在住のパッチワークキルト作家、中山弘子(なかやまひろこ)さん(79)。作品作りに理想的な布を集め、小さな端切れも残しておくといい、棚いっぱいに整理された色とりどりの布が出番を待っている。

パッチワークキルトは、ヨーロッパ発祥の伝統的な手芸技法。さまざまな色や大きさの布をつなぎ合わせて表布にし、綿と裏布の3層を1本の糸で縫い合わせる。主な材料は木綿で、古い着物やスカートなどを再利用することも。

大型作品の制作は1年がかり。150センチ四方の作品を作るには、手縫いでその2倍、ミシンでは3倍の布が必要で、「布が途中でなくなる。長年大事に取っておいたものだから、どこにも売っていない。よくやる失敗」と苦笑する。

中山さんがキルト制作を始めたのは40年前。子育てが一段落し、趣味を持とうと講座に通い始めた。構図を自由に考え、小さな布や古布も生かせるところに魅力を感じた。「一つ一つが初めてで、刺激的だった」

周囲に頼まれ無償で教え始めたが1991年、講師になった。映画や舞台などさまざまな題材から着想を得てデザインに落とし込み、精力的に制作を続ける。2009年の「第10回日本キルト展」でグランプリを受賞。「これ以上のものはできない」と話す大作の「白鳥の歌」は、アメリカのキルト美術館に所蔵されるなど、国内外で高い評価を受けている。

愛用の指ぬきをはめ、1ミリほどの細かい針目であっという間に縫い進めていく。中山さんが講師を務めるキルト教室「ペパーミントキャリコ」の作品展が25年に予定されている。「花のキルト」をテーマに、新たな作品の制作が始まっている。次作品は、青い花模様の大皿からインスピレーションを得たという。



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