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難病ALSの患者 余命宣告され、精力的に活動 茨城・水戸の市毛さん 毎日が大切、「幸福な時間」

トレラン仲間と交流するALS患者の市毛恒一さん(左から2人目)=城里町下古内
トレラン仲間と交流するALS患者の市毛恒一さん(左から2人目)=城里町下古内


全身の筋肉が次第に動かせなくなる難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)。医師から余命宣告された茨城県水戸市の男性が、〝かけがえのない日々〟に力を注いでいる。今何より大切にするのはいつも通りの毎日。「朝起きて、顔洗って、飯食って。家族や友人と過ごす」。仕事を続ける傍ら、病気について講演したり、ロボットを使って趣味を続けたりと精力的に活動する。男性は今を「幸福な時間」と表現する。

■ロボットで体感

男性はALS患者の会社員、市毛恒一さん(57)。「もう動かせるのは首から上くらい」。咀嚼(そしゃく)や会話はできるが、病は進んでいる。そんな生活は信頼できる仲間たちと共にある。

18日、水戸市や同県城里町にまたがる朝房山。小さな映像ロボットを抱えた女性が、落ち葉を踏みしめて走る。生中継の動画は、市毛さんの自宅のタブレットに送られてくる。揺れる画面や風切り音、呼吸音を感じ取る。「30年通い詰めた山。景色や空気のにおいを思い出せた」と笑顔を見せる。

市毛さんは、山道を軽装備で走るトレイルランニング(トレラン)の愛好家。欧州アルプスや富士山での大会を踏破してきた。鉄人を突如、病魔が襲った。

■病状を告白

2021年秋、全てが一変した。「発症して3年で呼吸が止まり、人工呼吸器を付ければあと3年は延命できるかもしれません」。足の不調に違和感を覚え、訪ねた病院でALSの発症と余命宣告を受けた。

言葉を失い、途方に暮れた。それでも数日後には「治療法がない病気。特別なことはやっても仕方ない」と腹をくくった。妻や子どもに病状を告げ、会社の理解も得て仕事を続ける道を選んだ。トレランの仲間にも告白すると、肩の荷が少し下りた。心残りをなくそうと、遠方の旧友にも会いに出かけた。

■かけがえない存在

しかし、前日できたことが今日はできなくなっていく。歩けなくなり、腕が動かなくなる。食事も自力でできなくなった。人に頼るのが苦手な性格。介助を受けることで自尊心が傷つけられ、悩みは深まった。

体の自由が失われていく中、出合ったのが小型人型ロボット「OriHime(オリヒメ)」だ。東京のALS患者がロボットで接客するカフェに行き、有用性を知った。

仲間や介助者にロボットを持って外出してもらい、世界が広がった。操作用のタブレット越しに自宅から遠方に出かけ、相手と話せる。身ぶりで感情も表現できる。ロボットを使ってトレランの大会ボランティアをしたり、飲み会に参加したりした。「分身のような存在」は、自身と社会とをつないでくれた。

友人たちはなお、かけがえのない存在だ。トレラン仲間の森島学さん(53)は、レースで苦楽を共にした。病状の進行に合わせ、皆と相談して旅行やイベントを企画。「市毛さんは挑戦する強い気持ちを持った人。一緒に実現するのは楽しい」と語る。状況が変わっていく中、一緒にいられる時間を大切にする。

今も自宅でパソコンを指先で動かし、仕事を続ける。「周りの人の支えで生きている。私にとって幸せな時間」と市毛さん。妻や子どもへの言葉はエンディングノートにつづった。

社会貢献になればと、看護師やスポーツ選手を相手に講演し、ALS患者の実体験や気持ちを伝えている。「同じ患者たちのためにできることも続けたいと思っている」。そう言って市毛さんは前を向いた。

★筋萎縮性側索硬化症(ALS)

手足や喉、舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉を含め、全身の筋肉が徐々に痩せて力が入らなくなっていく難病。進行しても通常は視力や聴力、体の感覚は保たれる。年間新規発症者数は人口10万人当たり2・2人ほど。全国の患者は約1万人に上る。発症原因は解明されておらず、根治させる治療法も見つかっていない。

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