茨城県水道 21市町村と協定 3年めど、経営統合
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茨城県企業局を統合先とする水道事業の「経営一体化」を巡り、県は26日、県外を含む21市町村と基本協定を締結した。県全域対象の経営統合は全国6例目となり、越県は初めて。大井川和彦知事は「水道の持続可能な供給体制の確保に向け、大きな一歩を踏み出した」と述べた。
同県水戸市笠原町の県市町村会館で開かれた締結式には大井川知事や石岡市、大洗町、栃木県野木町などの各市町村長らが出席した。同日、締結に伴い法定協議会を設置。一体化の時期を3年程度以内とし、財政運営、組織、施設整備など、より具体的な調整を進める。
協定には、県企業局が経営▽市町村などの水道事業に関する資産や負債、資本を継承▽当面の間は水道料金を統一しない-などの方針を盛り込んだ。
締結式後、国井豊大洗町長は「人口減少が続けば単独経営はできない」と強調。昨年、町内の老朽管が漏水し、ほぼ全域で断水や濁り水が起きた状況を踏まえ、「(老朽化対策などで)財政上の支援を受けたり、専門家の知見を活用したりできる」と一体化の利点を挙げた。
経営統合は人口減少に伴う料金収入減や老朽化施設更新などの課題に対し、経営合理化を進め運営コスト抑制につなげるのが狙い。約50年間の概算効果額は、浄水場の統廃合など施設の最適化による更新費用や維持管理コストの削減、活用可能な国交付金による財源確保、効率的な施設の更新や耐震化などで計1137億円以上を見込む。
21市町村が締結した一方で、11市町と1企業団が「検討中」、9市町村1企業団は参加しない意向。参加を見送る自治体は「単独の方が給水原価が低く市民の負担が少ない」(水戸市)、「浄水場を持っていないのでメリットが少ない」(神栖市)などの理由を挙げた。