【経済・トレンド】
CM放送で話題の『サク山チョコ次郎』 奇抜なネーミングで“チョコ菓子”に参入した意図とは?

テレビCMも話題の『サク山チョコ次郎』 (C)oricon ME inc.
 正栄デリシィが製造、販売する一口サイズのチョコビスケット『サク山チョコ次郎』。商品キャラクターの“チョコジロー”が出演するテレビCMも放送中で、子どもから大人まで幅広い層のユーザーから支持されている。他社メーカーも含めてヒットしたチョコ菓子は過去にもたくさんあるが、ここまでオリジナルキャラクターを前面に押し出した商品は近年珍しい。同商品開発のきっかけや、昨年初めてテレビCM放送に至った理由、今後の展望などを商品企画部・中島均さんに聞いた。



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■会社設立10年目に誕生した『サク山チョコ次郎』 開発にかけた思い



 正栄デリシィは、大手食材専門商社・正栄食品工業(株)のグループ会社として2007年に設立。チョコレートや焼き菓子の製造販売を行ない、『ベストバラエティ』、『大人のクランチ』シリーズ、『低糖質ミルクチョコレート』、『レーズンチョコ』などのラインナップを揃えている。



 『サク山チョコ次郎』は、設立10年目となる2017年に発売。それまでの強みを生かし、チョコレートと焼き菓子を組み合わせた新たなチョコビスケット商品の開発に着手することとなった。と同時に、消費者の方々とコミュニケーションを図るような“シンボルキャラクター”が必要と考え、キャラクター開発プロジェクトもスタートした。



「チョコレートとビスケットを合わせたお菓子は珍しくありませんが、そこにキャラクターの存在を加え、ストーリーがあることで(チョコジローと人間の少年が出会い、様々なエピソードが繰り広げられる)、お菓子をさらにおいしく、みんなで食べることの楽しさも提供できると考えました」

 チョコレートとキャラクターを組み合わせた商品は他社にもたくさんあり、商品だけではなく、企業の認知を得るきっかけにもなる。お菓子作りのノウハウを持っていた同社にとって、キャラクター開発は挑戦だったといえる。



「菓子には企業の顔となるようなキャラクターがたくさんいます。弊社も後参入企業ですので正栄デリシィを覚えていただけるような“アイコン”として顔になるキャラクターのインパクトと、インパクトだけはなく『おいしさ』を武器にしながらこれからもご愛顧頂けるようなキャラクター開発を目指しました」



 キャラクター開発のために、様々なデザイン会社に声を掛け、約1年ほどかけコンセプトを共有し制作していった。



■ゆるキャラ流行りの中、誕生したオリジナルの癒し系キャラ“チョコジロー”



 そんな苦労の末に生まれた“チョコジロー”。一口サイズであることを生かし、食べるたびにキャラクターの世界観を楽しめる工夫も散りばめた。ビスケット面には「いっチョにたべよ!」などチョコジローのひと言プリントや、シークレットの絵柄が100種類も描かれている。ミルクチョコレートの面にも30種類のデザインがあり、チョコジローのいろいろな表情やポーズが描かれ、食べる際にキャラクターとコミュニケーションをとっているような、「楽しさ」も提供している。



 チョコジローは「チョコを食べる珍獣」という設定で、見た目は茶色いモフモフした、丸くてゆるいフォルム。



「開発当時はゆるキャラの流れもありましたが、これから長く愛されるお菓子のキャラクターとしてどのような存在が良いかと悩む中で、お菓子との『親和性』や『いろいろな表情が生まれる愛嬌』があり、大きな口の食いしん坊キャラとして“チョコジロー”が生まれました」



 愛らしさを持ったキャラクターではあるが、ブランドサイトを見るとチョコジローの生い立ちなど、細かいストーリーが用意されている。それは、お菓子には珍しい『サク山チョコ次郎』という商品名にも反映されている。



「チョコジローは『人間と仲良くなりたい』との思いから、人間のマネをして苗字をつけて『サク山チョコ次郎』と名乗っています。擬人化した商品名にすることで、商品をモノとしてとらえるのではなく、より“親近感”を感じていただければ…という思いも込めてネーミングしました」



 ブランドサイトにはキャラ設定やストーリーに加え、「チョコジロー体操」「チョコジロー絵描きうた」といった楽しい動画や壁紙、ぬりえなど、様々なコンテンツが豊富。1つの商品に対してこの力の入れようには驚かされるが、そこは「ユーザーとのコミュニケーションを大切にする」という同社の意思が色濃く反映されているようだ。



■口コミで認知度が拡大 2021年初の大規模なテレビCMを放送



 発売当時は、子ども向けキャラクター菓子としての認識が強かった同商品だが、その後TwitterやInstagramなどからの口コミで、「食べたらおいしい!」「子どもだけではもったいない」と大人のユーザーにも浸透してきた。ビスケットの「チョ」がつく楽しいプリントの言葉も「かわいい」と盛り上がりを見せ、タレントや声優、YouTuberらがSNSで発信したことで、売上も発売当時の倍以上に伸びてきたという。



 発売して数年はターゲットを絞ってYouTubeなどSNSでCMを行なってきたが、「大人の方々にも認知していただきたい」との思いから昨年は初の大規模なテレビCMへと踏み切る。CM内での歌を務めたのは、テレビアニメ『オッドタクシー』でギャングのヤノを演じたラッパーのMETEOR(メテオ)。



「チョコジローのおいしさ、かわいさ、愛嬌、音楽の面白さすべてを15秒に詰め込みました。ゆるいキャラクターで、一見子どもっぽい見た目をしていますが、実は大人が食べても美味しい本格的なテイストを伝えたく、『オトナ味~♪(『オ』いしい、『ト』ろける、『ナ』めらか味』という、あいうえお作文の要素を使って表現しています」



 どの企業もCMで、商品の味とキャラクターを限られた時間の中で伝えることに苦労する。『サク山チョコ次郎』も、パッケージと同様に、CMもメインカラーを黄色を占めるようアイキャッチをつけ、チョコジローのイラストと耳に残る音楽を組み合わせ、世代を問わず興味を持ってもらえるように構成。「とぼけた顔で本格派」というキャッチコピーも添えることで、より味わいへのこだわりも印象に残るように仕上げた。SNSでも「何度も見てしまうCM」「子どもの食いつきがすごい」「オドタクのヤノさん?」と、CM視聴者から様々な声が寄せられており、認知度拡大にしっかりつながっているようだ。



■競合他社との差別化に試行錯誤 楽しいコンテンツになる菓子作りを目指す



 キャラクター戦略だけでは現在のチョコ菓子市場は生き残れない。各メーカーでロングセラーが多数存在する中、新商品を開発するのは容易なことではない。同社では、『サク山チョコ次郎』を開発する際、市場の商品をすべて分析、研究しつつ、今までにない新しいチョコビスケットを目指して、試行錯誤を繰り返したという。



「ミルクチョコレートの満足感を増やすためにチョコの厚みを厚くし、ビスケットのサクサクした食感を目指して中空(真ん中に空気を含んだ)のビスケットにすることで満足感の高いおいしさを作り上げました。またミルクチョコレートの中にミルククリームを挟むことで、チョコレートとサクサクとしたビスケットの相性がさらに良い組み合わせとなり、ひと粒の中になめらかなおいしさが加わりました。このボリューム感のあるチョコレートとふくらみのあるビスケットを組み合わせる機械の調整などに試行錯誤しながら、各部署の協力の下で商品化できました」



 菓子メーカーにとっては、商品棚の確保も大きな問題である。そんな中、『サク山チョコ次郎』はスーパーだけでなく、コンビニやドラッグストアでも展開中だ。



「コンビニでの販売は、商品をいろいろなシーンでご購入いただける上に、初めて手にとっていただく接点としての幅も広がりますので、弊社としても必ず販売したい売場となります。ナショナルブランド商品として一つ上を行くおいしさ作りやより楽しんでいただくコンテンツ作りを充実させて、楽しさという付加価値を加えたご提供を目指しています」



 ちなみに、3月26日は「サ(3)ク山チョコ次郎(26)の日」。昨年度の同日には「サク山チョコ次郎の日」がTwitterトレンド入り4位になったという。「今年もTwitterトレンド入りを目指して、皆様に応援いただけるようなおいしさと新しい価値開発を探求していきます」と中島さんは意気込む。じわじわとファンを増やしていっている『サク山チョコ次郎』。数ある国民的チョコ菓子をおびやかす存在になる日もそう遠くはないのかもしれない。

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