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つくバス、ミス急増 22年度 目立つ人的エラー 前年度比3・7倍、15件 茨城・つくば

市のコミュニティーバス「つくバス」=つくば市研究学園(画像を一部加工しています)
市のコミュニティーバス「つくバス」=つくば市研究学園(画像を一部加工しています)


茨城県つくば市のコミュニティーバス「つくバス」で運行ミスが相次いでいる。停留所の誤通過や時刻表より早い出発など、2022年度は人的エラーが計15件に上り、21年度の4件に比べ約3.7倍に増加した。運行業務を請け負う関東鉄道(土浦市)は、事案ごとに個別の防止策を講じてきたが、ミスの根本的な原因分析に苦慮。今後、第三者機関に分析を求めたり、バスの位置情報を確認できるシステム導入を検討したりするなど、実効性のある対策を急ぐ。

市総合交通政策課によると、つくバスは06年4月、つくばエクスプレス(TX)開業を受けて事業を開始。現在は、TX各駅や高校前などに停車する10路線で計約300便が運行している。

つくバスの運行ミスや事故を巡っては、市の発表基準に該当した事案が19年度3件、20年度1件、21年度4件で推移してきた。しかし、22年度は一気に18件に増加した。同課担当者は「例年は1桁で推移してきたのに。(22年度は)桁数が違う」と表情を曇らせる。

人的エラーに起因するミス15件は、走行ルートの誤りや停車ミスなど。このうち、8件は昨年12月以降の3カ月余りに集中しており、五十嵐立青市長から同社の松上英一郎社長宛てに文書で厳重注意する事態に発展した。同課は「不適正運行があるたびに口頭で再発防止を申し入れているが、文書での申し入れはこれまでになく重い」としている。

市や同社によると、ミスをした運転手は経験の浅い新人からベテランまでさまざま。運転手の人員確保には苦慮しているものの、シフトは労働環境に無理のない範囲で決めており、同社は「直接的な原因とは考えていない」とみている。

同社は今年1月以降、走行ルートにミスがあった停留所に目印をつけたほか、運転手に車内アナウンスで注意喚起したり、停留所前は徐行、停止の確認徹底を指導したりするなど、個別事案ごとに再発防止策を講じてきた。

しかし、3月末に停留所を予定より5分早く発車するミス「早発」が発生。バスの早発は旅客自動車運送事業運輸規則で禁止されている。同社によると、原因は、前方バスと同時刻の発車と思い込んだ運転手のミスという。

同社の松上社長は、4月中に事故防止の研修を請け負う別の企業にミスの分析を依頼し、問題点を洗い出す考え。また、来年3月を目途に、リアルタイムでバスの走行位置を把握できる「ロケーションシステム」導入も検討する。

松上社長は「利用者の不安を払拭し、信頼性を高めるために新たな対応策を講じたい」と語った。

■9日も乗客見落とし
つくば市は10日、市のコミュニティーバス「つくバス」が、乗客1人を見落として停留所を通過したと発表した。

市によると、9日午後7時23分ごろ、つくばセンター発筑波山口行きのバスが、同市妻木の停留所で待っていた乗客1人を見落とし、停車せずに通過した。乗車予定の客からの連絡で発覚。乗客は約40分後、次の便に乗車したという。市側は「再発防止策を改めて検討するよう求めた」と述べた。

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