overlaylist; ?>


【音楽】
魂の歌、揺るがない絆――ONE OK ROCK、20周年ツアー“伝説”の日産スタジアム公演【ライブレポート】

ONE OK ROCKツアー『DETOX JAPAN TOUR 2025』日産スタジアム公演(8月31日)の模様 写真:伊藤滉祐


 ロックバンド・ONE OK ROCKが8月31日、ツアー『DETOX JAPAN TOUR 2025』の神奈川・日産スタジアム公演を開催。バンド結成20周年を迎えた節目のステージは、壮大な演出と圧倒的なパフォーマンスで観客を熱狂させた。終盤にはボーカルのTakaがアクシデントに見舞われる衝撃的な展開となったが、“伝説”として今後もファンのあいだで語り継がれるだろうライブとなった。



【ライブ写真多数】Takaの負傷もあり“伝説”となったONE OK ROCKの日産スタジアム公演の模様



■メッセージ映像で幕を開けたライブ



 18時10分、日が沈みはじめたスタジアムに流れたのは、正義や平和とは何かを問いかけるメッセージ映像。現実と仮想の世界、AIや神をモチーフにした強烈な内容で、「音楽の力で世界をデトックスする」という今回のアルバムのテーマが提示されると、観客のボルテージは一気に高まった。



 オープニングは「Puppets Can’t Control You」。アイメイクを施したTakaが炎の演出とともに力強い歌声を響かせ、客席の手が一斉に上下する光景は圧巻。世界を舞台に活躍するバンドならではの圧倒的な音圧とともに「さぁ、いこうか日産!」と煽ると、そのまま「Save Yourself」「Make It Out Alive」へ。スクリーンに迫力ある映像が流れるなか、観客のシンガロングが自然に広がり、序盤から一気に加速していった。



■20周年を迎えたメンバーの想い



 「Cry out」ではRyotaの重低音ベースと観客の大合唱が重なり、Toru、Tomoyaのデスボイスも加わって熱量はさらにアップ。「NASTY」ではカラフルなレーザーが夜空を切り裂いた。Tomoyaの情熱的なドラム、Ryotaの職人的で堅実なベース、Toruの安定感あふれるプレイと分厚いギターサウンド、そしてTakaの圧倒的なカリスマ性が、バンドとしての真価を見せつける。



 MCではTomoyaが「気づいたら20周年。この景色が見られて幸せです…でも俺は加入して19周年(笑)!来年俺だけ祝って!」と場内を和ませ、Ryotaは「昨日は気持ちが抑えきれなくて、前半で腕がパンパンになって。でも今日は絶好調です」と笑顔を見せた。Toruが「結成20周年。本当にありがとう。こんなこと言ったことないけど…感謝しかないです」と語ると、Takaは「Toruが言うとエモいな。一緒に音楽できてうれしいよ!」と照れながら応え、バンドの絆を観客に感じさせた。



 MC後に披露された「Living Dolls」では「歌ってくれ日産!」の煽りに応える大シンガロング。Toruのエキゾチックなギターソロで幕を開けた「Party’s Over」は、制御されたシンクロライトが曲にシンクロして輝き、観客全員で作り上げるライブの一体感が際立った。



■世界的バンドの圧倒的な実力



 中盤では今回初参加となるピアニスト・Osamu Fukuzawaを迎え、バラード曲が披露された。Takaは「俺はばーちゃん子。両親が忙しかったし、俺たち兄弟を大事にしてくれた。この前倒れちゃって、会話はできないけど、この曲でどこにいてもばーちゃんに思いを届けたい」と語り、「This Can’t Be Us」を披露。歌詞と温かなアニメーションがスクリーンに映し出され、思いを込めて歌い上げる姿に胸が打たれる。続く「All mine」「Renegades」では、ピアノと圧倒的な歌声によるドラマティックな世界観が演出された。感情を存分に乗せながらも安定感抜群のピッチで届ける、Takaのボーカリストとしてのスキルが存分に伝わるセクションとなった。



 続いてバンドはインストセッションへ。ヴィブラートを効かせた高音域でのベースソロを聴かせるRyota、頭を激しく振りながら豪快にタムをまわすTomoya、ライトハンド奏法も交えてアメリカンなギターソロを聴かせるToru。プライマスのバンドTシャツを着たToruの姿もロックキッズらしさを漂わせ、攻めの演奏と安定感を両立させた圧巻のプレイで観客を魅了した。



 そこへCHICO CARLITOとPaleduskが登場。Takaが「このメンバーが集まったらやることはひとつだよな!」と叫ぶと、炎と轟音の中「C.U.R.I.O.S.I.T.Y.」「One by One」が披露され、観客のテンションは最高潮に達した。



■「ニルヴァーナもびっくりだよ」突然のアクシデント、そして感動のラストへ



 続く「The Beginning」では大歓声&大シンガロングが起き、“ヘドバン”の波がスタジアム全体を揺らす。MCでTakaは「10年前から海外で挑戦してきた。政治的なメッセージを込めた今回のアルバムで世界をまわることには意味がある。違う考えがあってもいい。大事なのは想いをまっすぐに届けること」と語り、会場から大きな拍手が沸き起こった。



 その直後、「Dystopia」を終えたTakaが足を引きずりながら退場。観客がざわつくなか、車椅子に乗って再登場したTakaは「わりぃ、左足が動かねぇんだ。こんな格好で初めてステージに立つけど」「ニルヴァーナもびっくりだよ」と語り、左足を負傷したことを報告(のちに小指の付け根の骨折と判明)。しかし「ぜってぇやめねぇからな!やらせてくれこのまま!」と叫び、車椅子を降りてお立ち台に座り「Tropical Therapy」を歌唱。両手でマイクを握りしめ、体全体で声を絞り出す姿にスタジアム全体から大きな拍手と歓声が巻き起こる。「The Pilot </3」のラストではお立ち台の上に倒れ込み、魂の歌唱を見せた。



■全身全霊の歌声を響かせてエンディングへ



 Takaはメンバーに抱えられながらステージをあとにし、けんけんで再び登場。片足で立ちながら全身全霊の歌声を響かせ、時に左足をお立ち台に乗せながら歌い続けた。観客もその姿に呼応するようにジャンプとシンガロングで応戦。ラストの「We are」では大合唱と花火でクライマックスを迎え、終演後にはTakaが手を合わせるような仕草でファンに感謝を伝え、Toruが「また必ず戻ってきます」と宣言して公演を締めくくった。



 ラストのMCで、Takaは自身の半生を振り返るように語った。「世の中が許せなかった。昔から、まわりのことだったり、親のことだったり、いろんなことが許せなかった。そういう気持ちを持ち続けていたけど、このバンドに出会って変わった」「許せない気持ちばかりだと、やがて自分が許されない存在になってしまう。反対の優しい気持ちも持つべきだと思う。右も左もひとつ、そう信じてマイクを持ってる。キレイ事かもしれないけど、ステキなことだと思う」と観客に語りかけた。



 骨折というアクシデントを乗り越え、最後まで歌い抜いたTakaの姿は、バンドの20年の歩みと覚悟を象徴するものだった。日産スタジアムの夜は、ファンにとって一生忘れられない記憶となったに違いない。



■セットリスト(8月31日・日産スタジアム)

M01. Puppets Can’t Control You

M02. Save Yourself

M03. Make It Out Alive

M04. Cry out

M05. NASTY

M06. Living Dolls

M07. Party’s Over

M08. Tiny Pieces

M09. This Can’t Be Us

M10. All mine

M11. Renegades

M12. インストセッション(Bass / Dr / Gt)

M13. C.U.R.I.O.S.I.T.Y.(with Paledusk & CHICO CARLITO)

M14. One by One(with Paledusk & CHICO CARLITO)

M15. The Beginning

M16. Delusion:All

M17. Dystopia

M18. Tropical Therapy

M19. The Pilot </3(with strings)

M20. Stand Out Fit In(with strings)

M21. +Matter

M22. We are

関連記事


最近の記事

茨城の求人情報

\n
\n
-->