
【映画】
松村北斗、『秒速5センチメートル』釜山映画祭で大盛況 『キリエのうた』以来2度目に参加に感慨「こんな経験もあるんだ」

SixTONESの松村北斗(30)が主演する実写映画『秒速5センチメートル』(10月10日公開)を引っ提げて18日、奥山由之監督とともに、第30回釜山国際映画祭に参加した。今作、初の海外上映となる、インターナショナルプレミア上映のGuest Visit(舞台あいさつ)に登壇した。
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今作は『君の名は。』(2016年)、『天気の子』(19年)、『すずめの戸締まり』(22年)など、記録的な大ヒット作を生み出してきた新海誠氏によって07年に公開された劇場アニメーションをもとに、主人公・遠野貴樹(松村)の18年間にわたる人生の旅を描く。
1996年に創設され、アジアを代表する映画の祭典として常に注目を集めている釜山国際映画祭。中でも、本映画祭の目玉であり、人気・芸術性に富んだ新作や国際的に評価された作品が選出されるオープンシネマ部門に、今作が正式出品することが決定。22日には、釜山最大の座席数(5,000席規模)を持つメイン会場「映画の殿堂」の野外スクリーンにて公式上映される。
現地では、韓国を代表する海雲台(ヘウンデ)ビーチを前に、釜山国際映画祭への意気込みを語った。同映画祭のA Window on Asian Cinema部門に選出された『キリエのうた』(2023年)以来2度目の参加となる松村は、釜山国際映画祭への参加について、「前回初めて釜山に来た時の感動も大きかったですが、今回は再び来ることができたという喜びや、奥山さんと一緒に来られたということが、こんな経験もあるんだと感動しています。」と期待にあふれる想いを述べる。
今回初めて釜山国際映画祭に参加する奥山監督は「この作品が、釜山でどのように受け止められるのか本当に楽しみですし、何より日本の春夏秋冬がたくさん映っている作品だと思うので、釜山の海風を感じながら観ることができるというのがとても光栄です。」と、前向きな想いを語った。
松村は、韓国で楽しみなことについて「イイダコを甘辛くしたチュクミと、韓国特有の甘辛く焼いたウナギも食べたいです」、奥山監督は「先ほどアワビ粥をいただきました。せっかくの映画祭なので、色々な作品を観たいと思っています」と意欲を示した。
海外で初めての上映となるインターナショナルプレミア上映に向けて、松村は「初めて海外の皆さんに見ていただくということで緊張もしていますが、ちょうど昨日、日本での舞台挨拶を終えて、日本のみなさんからいいお言葉をたくさんいただいて、勇気をもって胸を張って韓国での上映を迎えられそうです。ありがとうございます」と日本のファンへ感謝を語る。
「海外の方がどういう感覚、どういう視点で見るのか、正直未知な部分があるので、驚きや発見もある上映になると思います。今回の映画には「種子島編」として海が重要なパートもあるので、海が特徴的な釜山で上映をするということは、とてもリアルな温度感が伝わり、受け入れてもらえるのではないかと期待しています」とコメントした。
また、ソヒャンシアター新韓カードホールにて、インターナショナルプレミア上映が実施。上映後、松村と奥山監督が、約700人の観客を前に登壇。拍手に包まれる中、監督が「アニョハセヨ」と、韓国語を使って挨拶。続いて、松村も「アニョハセヨ。松村北斗です」とあいさつすると、会場からはキャーという黄色い歓声が。
松村は「どのようにこのプロジェクトに参加することになったのか。また実写映画で遠野貴樹役を演じるにあたって、どのように役作りをしていったのか」という質問に対して、「オファーをいただいた時点で、すごく怖いチャレンジだなと思いました。日本だけでなく、韓国の皆さまもそうですし、世界各国にファンがいる原作で、ある意味、映画として一度答えが出ていて完成されている作品に、もう一度チャレンジするというのはすごく怖かったです。ですが、僕自身、もとから大ファンの原作だったので、お話をいただいてしまった以上、やりたいという気持ちを止められないというのが、この作品に挑むきっかけでした」とオファーを受けた際の気持ちと原作への想いを告白。
そして、「役作りで大切だと思ったのは、今言ったように、自分が好きな作品で、自分が好きなものを投影していたタカキというキャラクターだったからこそ、自分がこういうキャラクターでいたいという欲や憧れみたいなものを一度捨てて、きちんとこの人の人生と向き合うのに時間がかかりました。そこがかなり重要かつ難しい作業でしたね」と原作ファンならではの苦労を語った。
続いて、「松村北斗さんが三宅唱監督の『夜明けのすべて』に出演された際、夜空を見上げて星を数えるというシーンがありましたが、今回の『秒速5センチメートル』の中でも、星を見ながら色々な思いを巡らせるという部分が共通していて面白かった」という感想に、松村は、「どちらの作品にも星やプラネタリウムというものが共通していて、偶然にも北斗という僕の名前は星が由来なので、すごく縁深いものだなと感じています。人間の細胞をどんどんズームアップしていくと宇宙の様子と似た画像になるそうで、そのように人間は自分のことでも、小さい一つのことが宇宙のようにわからなかったりします。宇宙や星というのは、ある意味、人間の大きなテーマなんじゃないかなと思っています」と自身の名前と作品の縁の深さを感じていた。
その後、来場者からの質問に答えるQ&A方式で、『秒速5センチメートル』の制作についてより深堀った話が展開。松村に対して、「貴樹を演じながら、自分と似ていると感じた点はありましたか?」という質問が。松村は、「具体的な境遇は違うけれど、人にはそれぞれが生きるスピードがあって、自分がゆっくりなのか、どこかズレが生じていて埋まらないと感じることがあり、それが自分にとってネガティブなものであるということが、貴樹と根底にあるベースのムードは近かったかなと思います」と貴樹との共通点についても明かしていた。