赤色灯、聴覚障害に配慮 茨城県警パトカー 緊急走行 判別向上へ 新型配備、順次拡大
聴覚障害者がパトカーの緊急走行とパトロールを判別しやすくするため、茨城県警は光り方を変えられる赤色灯を搭載したパトカーを導入し始めた。今月から小型パトカー7台を県内の水戸、つくば、土浦の3署に配備。今後、順次拡大していく。従来は発光パターンが1種類しかなく、車を運転中の聴覚障害者が路肩に寄せてパトロール中のパトカーに道を譲ろうとするケースがあったという。4日、同県水戸市笠原町の県警本部前で報道陣に公開した。
新たな赤色灯は、緊急走行中は従来通り0.5秒周期でライトが激しく点滅するのに対し、パトロール時は2秒周期で蛍の光のように緩やかに点滅する。全日本ろうあ連盟が警察庁に導入を要望し、昨年9月から順次、各都道府県警に配備されている。
県警は今後、約400台あるパトカーの更新に合わせて新型赤色灯を増やしていく。また、3月末までに事故処理車2台の配備も決まっている。
県警は周知を進めるため、手話で新型赤色灯について説明する動画をユーチューブで公開しているほか、県聴覚障害者協会の協力でチラシを配布する。県警装備施設課の諸沢直矢課長補佐は「聴覚障害者を含めた県民の安全に資する取り組みをしていきたい」と話した。
同協会のある理事は後方からパトカーが近づいた際、前にいる車をまねて停車するなどしているが、「前に車がいない場合は対応に困る」と説明する。
他の理事も「停車したが緊急走行中でなく、後方から追い抜きざまに(車内を)のぞかれて恥ずかしかった」「パトカーが来るとどうすればいいか分からず、ドキドキした」などの苦い経験があると明かした。白バイは身ぶりを使って運転者に指示を出すため、分かりやすいという。
同協会の吉沢馨会長は、取り組みを「ありがたい」としつつ、映像で見る限りはまだ判別しにくいとし、「もっと差をつけてくれた方が分かりやすい。今後、聴覚障害者の意見を取り入れて改善してもらえれば」と求めた。