ナシ新品種「蒼月」開発 農研機構 早い収穫、ミルキーな香り 茨城

農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市、農研機構)の果樹茶業研究部門は5日、茨城生まれのナシの新品種「蒼月(そうげつ)」を開発したと発表した。従来の早生(わせ)のナシより早く収穫でき、需要の高まる7月下旬から8月中旬ごろに出荷できる。甘くミルキーな香りも特長。来年秋以降に苗木が販売され、約10年後には店頭に並ぶ見込み。
同研究部門は、2007年に早生品種の青ナシ「なつしずく」と極早生品種の赤ナシ「はつまる」を交配し選抜。今年3月に「蒼月」として品種登録した。果実が円形で丸い月を連想させることが品種名の由来。
蒼月は、収穫期が早い主力品種「幸水」よりも20日ほど早く成熟するという。ナシは夏のお盆前に需要が高まるとされる。蒼月は出荷できる品種が少ない同時期に収穫、販売できるため、生産者にとって大きな利点があるという。
大きさや糖度、酸味は幸水と同じくらい。かたさは幸水よりも柔らかく、モモや加糖練乳と同じミルキーな香り成分が含まれるのが特長となっている。
栽培は、茨城県を含む全国各地の従来のナシ産地で可能という。苗木は、来年秋以降に、許諾契約を結んだ果樹苗木業者から販売される予定だ。
同研究部門の高田教臣グループ長(48)は「ほかにない極早生の品種で、今までのナシにない香りがある。若者世代にも人気が出るのでは」と普及に期待した。