小学生が希少昆虫発見 アカマダラハナムグリ 専門誌に発表へ 茨城・神栖の宮沢琉杜さん(波崎西小)


茨城県神栖市の宮沢琉杜(りゅうと)さん(11)=波崎西小5年=は、週3回虫探検に出かけ、自宅で常時40種類の昆虫を飼育する大の虫好き小学生。6月下旬には、絶滅が懸念されているコガネムシ科の昆虫「アカマダラハナムグリ」を、千葉県香取郡で初めて発見する快挙も成し遂げた。「空を飛んだり、土の中に潜ったりと人間にまねできない動きができる」と虫の魅力を語り、将来の夢に昆虫研究者を思い描いている。
いつものように虫探検に出かけた6月下旬。同県東庄町の雑木林で、同県版レッドリストで重要保護生物に分類されているコガネムシ科の昆虫「アカマダラハナムグリ」を2匹見つけた。体長は約2センチで、赤褐色に黒色のまだら模様が特徴。広葉樹で樹液を吸っていたといい、「ここにもこんな珍しい虫が生息しているんだと驚いた。ものすごく興奮した」と振り返る。
千葉県立中央博物館によると、アカマダラハナムグリが香取郡で確認されたのは今回が初めて。尾崎煙雄(けむりお)・上席研究員(森林生態学)は「千葉県内に限らず、全国的にも珍しい虫。大変貴重な発見」と驚きを見せる。現在、宮沢さんと共に専門誌に発表する準備を進めているという。
宮沢さんは父、信明さん(50)の影響で、2歳で昆虫に興味を持った。4歳の頃には昆虫の名前をカタカナで書いたり、絵を描いたりするように。虫好きはどんどん加速し、今では週に3回雑木林に行き、虫探しに熱中している。昆虫の図鑑や写真集を30冊以上集め、載っている虫はほとんど覚えているという。
自宅ではキリギリスやゲンゴロウ、クロオオアリなど常時約40種類の昆虫を飼育する。餌やりなどの世話で忙しく、虫を中心に回っている毎日。お気に入りの昆虫は死んだ後、標本作りに挑戦することもある。
毎年夏休みには、カブトムシの研究に熱を注ぐ。「カブトムシが卵を産みやすい土は何?」。そんな疑問を出発点に、海岸の砂や生ゴミと混ぜ合わせて発酵させた土など、これまでに数多くの種類で実験。茨城県教育委員会などが主催する科学研究作品展に応募しており、昨年は優秀賞の一つ、「げんでん財団科学賞」を受賞した。
虫にずっと関わっていたいとの思いから、将来の夢に昆虫研究者を挙げる。「新種を見つけて、その生態を解き明かしたい。みんなに昆虫のすごさを伝えたい」と声を弾ませた。