「異界」導く 水木しげるさん妖怪画 原画100点や創作参考資料展示 茨城県五浦美術館で12日から

「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる漫画家、水木しげるさん(1922~2015年)の妖怪画制作の手法に迫る展覧会「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」が12日、茨城県北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開幕する。江戸中期の妖怪図や民俗資料に基づいて描かれた妖怪画の原画約100点を展示。それら作品群は、怖いだけでなく表情やしぐさに愛嬌(あいきょう)が感じられ、見る者を郷愁あふれる「異界」へと誘う。
水木さんは大阪で生まれ、鳥取県境港市で育った。本名は武良茂(むらしげる)。太平洋戦争から復員後、紙芝居画家や貸本漫画家を経て「ガロ」などの漫画雑誌で活躍し、「悪魔くん」「河童の三平」などを発表した。代表作「ゲゲゲの鬼太郎」はテレビアニメ化され、妖怪ブームをもたらし、時代を超えた人気を見せた。
水木漫画の土台にあるのは、幼少期に近所のお年寄りから聞いたというさまざまな妖怪話や民話。さらに自身の壮絶な戦争体験に裏付けられた「命への深いまなざし」も貫かれている。
本展は、水木さんの生誕100周年(22年)を機に企画された。「百鬼夜行」のタイトル通り、妖怪画の原画約100点を公開。「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみの「一反木綿」や「ぬりかべ」をはじめ、少女を襲う巨大な骸骨「がしゃどくろ」、ザリガニのような形をし網を切り刻む「あみきり」などが並ぶ。江戸中期の浮世絵師、鳥山石燕が手がけた「画図百鬼夜行」や、妖怪の姿や由来を民俗学の視点から分析した柳田國男の「妖怪談義」など、創作の参考にした所蔵資料も展示される。
開幕前日の11日、水木さんの長女で水木プロダクション取締役の原口尚子さん(62)をはじめ、関係者約60人を集めたセレモニーが開かれた。内覧会で原口さんが展示作品について解説。「原画ならではの繊細な筆致や色使いを見ていただき、水木しげるの妖怪世界に浸っていただければ」と呼びかけた。
会期は10月26日まで。月曜休館。15日、10月13日は開館。9月16日、10月14日は休館。同館(電)0293(46)5311。