水戸市学校長会、修学旅行費軽減へ調査 保護者ら対象 物価高、行き先変更も 茨城
物価高を受けて修学旅行の経済的負担に配慮した方向性を探ろうと、茨城県水戸市の市学校長会は市内の保護者などを対象に、希望する行き先や費用の調査に乗り出した。宿泊費や交通費などが値上がりし、保護者の負担はここ数年で1万円近く上昇。現在は京都・奈良方面が定番となっているが、調査の結果次第で見直しも視野に検討を進める。
調査は市内の全市立小・義務教育学校を対象として、2028、29年度に中学3年生となる現在の小学5、6年生と保護者にアンケートを実施。経済的負担の軽減を主な狙いに、行き先や費用など数項目について質問している。
行き先は定番の京都・奈良のほかに、比較的安価な近場の東北、北陸方面なども選択肢として提示。28、29年度時点の旅費を1人当たり8万5000円と設定した上で、減額して方面を変更するか、内容を変更して京都・奈良のまま実施するかなどを尋ねている。
市教育委員会によると、市内公立中の修学旅行の平均費用は、24年度に1人当たり約8万1000円。コロナ禍前の19年度の約7万2000円から1万円近く増えた。
近年は物価高やオーバーツーリズムなどの影響で宿泊費や食事代が上昇。加えて燃料費の高騰や人手不足などに伴い、バスやタクシー料金も値上がりし「現在の費用で従来と同じ活動をするのは難しい状況にある」(市教委)。
市内公立中の修学旅行は3年の5~6月にかけ、2泊3日で実施。行き先などは市学校長会が設置する「市修学旅行委員会」の協議を踏まえ、各校の裁量で決めている。各校は関東地区公立中学校修学旅行委員会に加入しており、新幹線の割引など一部で支援を受けるが、保護者負担は年々大きくなっている。
調査は今月22日までの予定で、今後、結果を基に修学旅行の方向性を協議していく方針だ。
市教委は、経済的負担に配慮しつつ、教育的効果が高い豊かな学びになるようにすることが重要とし「市学校長会と連携しながら、さまざまな方策を検討していきたい」としている。