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大群ムクドリ 自治体苦悩 ふんや鳴き声、対策限定的 専門家 「共生の道模索を」 茨城

夕暮れ時の街を飛び交うムクドリの群れ=水戸市内
夕暮れ時の街を飛び交うムクドリの群れ=水戸市内


夕暮れ時にどこからともなく現れ、街路樹や電線に大群で止まるムクドリ。ふんや鳴き声が茨城県内各地で悩みの種になっている。果樹の被害も確認され、自治体は対策に乗り出しているが、効果は限定的でいたちごっこが続く。専門家はふんなどの被害を抑えるため、人通りが少ない場所への誘導が有効とし、共生の道を探ることが重要と訴える。

今月上旬の夕方。同県水戸市のJR水戸駅近くの交差点の上空は、ムクドリの群れが黒く埋め尽くした。街路樹やビル屋上に集まると、「ギャーギャー」と大合唱。歩行者は「ふんが怖い」と話し、足早に遠ざかった。

市には毎年のように、ムクドリのふん害や騒音の苦情が寄せられる。市は8月末、ムクドリが集まる市管理のケヤキ4本を高さ約10メートルから約6メートルに剪定(せんてい)し、生い茂る枝も切り落とした。市によると、過去にもムクドリが嫌いな超音波を流すなど試行錯誤してきたが、効果は限定的だったことから、街路樹の伐採に踏み切った。

頭を悩ませる自治体は多い。同県土浦市はシルバー人材センターの職員が、駅周辺に集まるムクドリを爆竹や天敵の動物の鳴き声の音声を使って追い払う。同県取手市は約700万円をかけ、11月末までの期間限定で駅前周辺の約50カ所に防鳥ネットを設置した。

■果樹にも

ムクドリの被害は農産物にも及ぶ。県によると、2023年度の被害額は約444万円。野生鳥獣による県内の農産物被害全体の約1.4%に当たる。県南西地区を中心に、主に果樹被害が多い。19、21年度には500万円を超える被害が確認された。

県は鳥や獣の保護などについて定めた計画の中で、ムクドリを有害鳥獣に認定している。被害発生前に生息数を減らし、農産物への被害を抑えるための捕獲をできるようにした。

土浦市は農協が主体となり、市に捕獲を申請。農村部で毎年200羽前後を駆除している。

■逆効果か

ムクドリは北海道から九州まで生息する。6月ごろに繁殖し、10月にかけて南下した群れが関東地方に集まる。

なぜ人が多い駅周辺に集まるのか。約40年間ムクドリを研究する都市鳥研究会副会長の越川重治さん(69)は「ビルが林立し、天敵のハヤブサなどが急降下しづらい。ねぐらとして安全」と説明。街路樹に多いケヤキが好みなのも一因とする。

音などで追い払うのは「かえって状況が悪くなる」と強調。ケヤキが落葉樹なのに対し、常緑樹で年中ねぐらとして機能するクスノキなどに逃げ込むムクドリが増え、冬場も居着きかねないと指摘する。

有効策としては、ふんなどの被害を抑えるため、人通りが少ない場所へ誘導していくことを挙げる。春先に街路樹を刈り込んだり、防鳥ネットを張ったりして、ねぐらにできないようにすると効果的という。

「ふんや臭いに怒るのも分かる」と越川さん。一方、ムクドリには農業害虫を食べるなど益鳥の一面もあるとし、「いなくなればいいという対策ではなく、共生できる道を選んでほしい」と願いを込める。



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