【茨城・城里町の課題 町長選を前に】 (下) 《連載:茨城・城里町の課題 町長選を前に》(下) 通学費助成 子育て支援、バス維持も

■車で送迎「対象認めて」
茨城県城里町は、子育て支援の一つとして、バスや鉄道など公共交通機関で通学する高校生の保護者の経済的負担を軽減するため、2016年度から定期券の費用の3割を助成している。町教委によると、同年度から昨年度までの各年度に、それぞれ320件、261件、307件、290件、281件、236件の申請があった。
同町那珂西、美容師の40代女性も助成対象者の一人。長男(16)が4月から水戸市内の高校に路線バスを使って通い始め、年間定期代約15万円のうち町から約5万円の補助を受けている。
女性は「子どもが高校を選択する場合、通学費が基準の一つとなる。バスで町外に出て、さらにバスや鉄道に乗り換えようとすれば必然的に高額になる」と指摘し、「行政からの3割補助はありがたい。子育てしやすい町であり続けるためにも、通学費の支援を続けてほしい」と要望する。
鉄道が通っていない同町では、民間の路線バスが唯一の公共交通となる。ただ、人口減少などにより利用者の伸びは期待できず、通学費の補助は、町民の足となる路線バスを維持する目的も兼ねているという。
町まちづくり戦略課によると、バス6路線の運行維持のため、路線ごとに赤字となった場合、バス会社への補助金の一部を負担している。16年度の負担額は約2800万円だったが、昨年度は約3500万円に上った。
同課は「通学費助成で高校生の利用者を何とか確保することで、負担額の急増を食い止めている」と厳しい現状を説明する。
二つの目的を持つ通学費助成だが、保護者による自動車送迎は対象外となっている。
同町桂地区のパート従業員の40代女性は、笠間にある高校に通う次女(17)のため、会社員の60代夫と協力し、自家用車で送迎している。次女が同校を選んだのは美術科があることが理由。ただ、路線バスや鉄道を乗り継いで登校するのは困難なため、自動車送迎を決断した。自宅から高校までは片道約20キロ、時間は約30分。1日2往復するため、総走行距離は約80キロに及ぶ。ガソリン代や時間的な負担は軽くない。
女性は「娘は将来の仕事のステップとして高校を選んだ。親としてその思いに応えたいが、負担は大きい。自動車送迎も補助の対象に認めてほしい」と切に願う。