【デスク日誌】遺された言葉を大切に

「貧乏な人とは、欲に限りがなく、いくらモノがあっても満足しない人」。質素な暮らしぶりで知られ、「世界一貧しい大統領」と呼ばれた元ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカさんの言葉だ

▼飽食、モノがあふれる時代。2012年の国連持続可能な開発会議の演説で、物質社会、大量消費社会に一石を投じた。日本でなじみ深い「足るを知る」という老子の教えにも通じる

▼ムヒカさんは5月、89歳で死去した。国葬が営まれ、2日間で10万人もの弔問客が訪れたという。精神的な豊かさでは、世界一の大統領だったかもしれない

▼著名人に限らず、今年も人生の先輩たちが泉下の人となった。遺(のこ)された言葉は、生き方に気付きを与えてくれる。ムヒカさんは「世界は(簡単に)変えられないが、あなた自身は変われる」とも。大みそかから、小さな一歩を踏み出してみる。(報道部・今井俊太郎)